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2008.01.02

書評<”環境問題のウソ”のウソ>


環境問題が声高に叫ばれるのにしたがって、増えてきたのがそれに対する懐疑論。特に武田邦彦教授の「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」は「たかじんのそこまで言って委員会」への本人の出演以来、ベストセラーとなった。本書はと学会会長にしてSF作家、山本弘氏の反論本である。
結論から言うと、例えばペットボトルのリサイクルに関する問題は武田邦彦教授の著作に登場するデータは教授により”誤読”されているのは確かで、教授が言ってることは現状とかなり異なっているようである。特に問題なのはコストとエネルギーを等価に捉えているので、関係各所から集められたデータがデタラメになっていること。山本氏は本人とも”対決”しているが、こういう対話にありがちな”スレ違い”に終わっている。

環境問題を難しくしているのは、一部の人々がそれを”絶対正義”にしていることだと個人的には思う。それだと、反発する人は必ず出てくる。例えば地球温暖化による北極の氷棚の面積の減少は、地球規模の気象現象に大きな異変をもたらす反面、そこに眠る資源の採掘を可能にし、北極航路を開くことにより運輸関係に劇的な変化をもたらす。すでにロシアやカナダはそれを前提に動き出している。その得失をどう考えるのか。物事をもっと多面的に捉えなければ
ならないだろう。そういう意味では、問題提起として武田邦彦教授と山本弘のやり取りは有意義なんだと思う。

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