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2008.01.03

書評<昭和のロケット屋さん>


宇宙作家クラブの松浦晋也、笹本祐一、あさりよしとおが、戦後の宇宙開発の中心にいた人物を招いて当時の話を聞く、ロケットまつり@ロフトプラスワンなるイベントをまとめたもの。ゲストは東大生産技術研究所(後の宇宙研)の打ち上げ技官であった林紀幸氏と、ロケットを生産してきた富士精密(後のプリンス自動車→日産→IHIエアロスペース)の垣見恒男氏。日本の宇宙開発の始祖となるペンシルロケットから始まった、一連の固体燃料ロケットのシリーズの開発を通して、長い歴史の中のエピソード、教訓などを聞いていく。付属のDVDには当時のロケット打ち上げ失敗の映像などが収録されている。

この本、宇宙開発に興味のある人ならば絶対に笑えて驚いて、楽しめる1冊である。日本の宇宙開発の父といっていい糸川英夫氏の指揮のもと、現場にて開発に携わられていた林氏と垣見氏がどんな格闘を繰り広げていたか、”知られざる歴史”を披露されるのだが、よく言えば手探り、悪く言えばハチャメチャである。旧軍の遺産ともいえる材料でペンシルロケットを打ち上げ始め、運にも恵まれながらもロケットの規模を拡大させていく。個性的な”独裁者”、糸川教授のパーソナリティ、東大内の縄張り争いなど、事故対処も含めて驚愕のエピソード満載である。最後の方には国防関係の話題もあり、まあぶっちゃけ過ぎなんではないかと(笑)。
もちろん、我々一般企業に勤める一般人にも通じる教訓も満載だ。それを含めて、”モノ作り”とはなんとオモシロいものなんだと改めて強烈に感じさせる。

当方、高校の成績は現代国語9、物理3の典型的文系人間だが、つくづくも理数系の人間に生まれ、エンジニアになりたかったと思う。

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