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2008.02.28

書評<ライディング・ロケット>

スペースシャトルのミッションスペシャリストとして、国防省の極秘任務を含む3回のフライトに参加した著者の自伝。アストロノーツの自伝は数あれど、本作品は異彩を放っている。もちろん、軌道上から見た宇宙の素晴らしさに関する記述を読めばワクワクするし、スペースシャトルについて、1回のテストもなしに友人打ち上げを実施し、試験機といってもよい不完全な機体を”運送屋”として扱ったことの愚かしさへの指摘は的確だ。
だが、本書の魅力は著者が自ら惑星AD(発達不全)出身者と名乗り、軍上りのパーソナリティをまったく隠していないことにある。ポスドクと呼ばれる大学院出身の宇宙飛行士をインテリのへなちょこと見下し、女性と見れば将軍の秘書でさえセクハラの対象。ジョークといえば、そこにフェミニストがいようと下ネタを全開。PoliticalCorrectness(政治的な正しさ)なんて何のその、とにかく痛快である。その著者がポスドクや女性飛行士たちと共に訓練を積み重ねることにより、彼らに対する見解が変わっていくのもまた、痛快だ。
さらにミッションへの参加を巡る仲間との競争や嫉妬、不透明な人事を行う幹部たちへの本音など、選りすぐりのライトスタッフであるはずの宇宙飛行士の負の感情も隠さない。
アメリカのヒーローたるNASAと宇宙飛行士たちの真の姿を垣間見ることのできる自伝だ。

2008.02.24

Su-15TM Day2nd

昨日の吹雪はひどかったっすね。例によって会社事務所に自主雪かきに出向いたのですが、強い風で吹きだまっておかしな積もり方をしている上に、気温が高くて湿った雪。ちょっとしんどかったっす。地球温暖化なんて信じれない今日この頃。

んで、トランペッターのフラゴンは脚の切り出しやエアスクープの取り付けなど。
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まーあちこちに出っ張りがあって、ヘンなプロポーションとともにソ連機らしくなってきました。一番大きな胴体サイドのエアスクープだけは胴体との合い、形状ともいい加減なので、パテか瞬着は必要。
ミサイルはR-98が赤外線誘導とレーダー誘導の機首部形状を再現しており、芸は細かいです。
ところで、ソ連機の脚ってカラーは何がスタンダードなんでしょう?キット指定はミディアムブルー、これまで作ったMig-21はジンクロとヘンなグレー、実機写真を見るとなんかホワイトの機体もあるような・・・ソ連機、やはり奥が深い。

2008.02.23

Su-15TM Day1st

ウイングバックの新商品レポート、2008年度第2弾いきます。
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トランペッター1/72スホーイSu-15TMフラゴン。大韓航空機撃墜事件で悪名を馳せたヴォイスカPVO(ソ連防空軍)の迎撃戦闘機です。先行の同社1/48のキットをほぼスケールダウンしたものではないかと。
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ちょいとクドめのスジ彫りとリベットも、随分と手慣れた感じになってきたんではないでしょうか。
んで、約4時間後。
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特徴ある機首からの胴体ラインもよく再現されているのではないかと。いや、それにしてもデカいレドームです。
胴体は複座型とのコンバーチブル前提のせいか、ややパーツ分割が複雑で段差ができますが、合い自体は良好。しかしながら左右胴体のパーツがヘナヘナで事後の変形が怖いので、プラ板で裏打ちをした方が無難。というか、裏打ちしないとサンディング時に確実に胴体が割れるでしょう。ここらへんはパーツの厚さを変えるなど、もうちょっとユーザーフレンドリーでいいかも、です。

2008.02.21

制御不能の偵察衛星にSM-3命中

アメリカ国防省は20日、制御不能になった偵察衛星を破壊するため、太平洋上のイージス艦から迎撃ミサイルSM-3を発射、命中させ、破壊に成功したと発表した。

はじめはヨタ話かと思っていたが、本当にやったのか。正直、MDはムダとはいわないが実用上のハードルは高いと思っていたけど、迎撃高度250kmとSM-3の150kmほどといわれていた推定到達高度を大きく上回っていることといい、準備にさほど時間がかからなかったことといい、予想以上のこちらの予想以上の性能を備えているのかもしれない。

2008.02.18

書評<ARIEL 1>


平和な日本にハウザー率いる宇宙戦艦が侵略にやってきた。日本が誇るマッドサイエンティスト、岸田博士は女性型巨大ロボットに自らの孫と姪を搭乗させ、出撃させる。果たして戦いの行方は・・・。

現在のライトノベルの隆盛の祖といえるSFの1つがARIELだ。宇宙からの侵略というフォーマットに乗せて送るドタバタ劇。散りばめられた小ネタの数々。それでいてメカやSFの設定はしっかりしている。個人的には完結に至るまでに”卒業”してしまい、さらに朝日ソノラマが亡くなってしまったが、ここにきての復刊である。あらためて読むと、その密度の高さに何よりも驚く。昨今のライトノベルと基本線は変わらなくても、そこに詰め込んである世界観、キャラクター造形と感情の動き、メカ設定の量と質は段違いだ。もちろん、1980年代に始まった物語なので、テクノロジーに至らない点もあるが、それもまた古典の味わいだろう。
また、番外編を一編ずつ収録されていて、それがまた芸が細かい。たいへんお得な復刊である。

2008.02.17

書評<2010年南アフリカW杯が危ない! >

今年のオリンピックも無事開催されるかどうか気になるところだが、2010年の南アフリカで開催予定のワールドカップも開催がかなり危ぶまれている。新規スタジアムの建設、貧弱なインフラとライフライン、極めつけは2ちゃんねるでネタになるほどの治安悪化だ。本書は著者自身が南アフリカに乗り込み、その準備状況などを取材、まとめたものである。
タイトルはそれなりに刺激的だが、いたずらにスキャンダラスなネタを追っただけでなく、FIFAがリスクを負いながらもアフリカ大陸でワールドカップ開催を決定した理由、南アフリカを支援する各国の思惑などもまとめられている。
意外に、というと失礼だが、南アフリカはそれなりの工業国である。ミリタリー業界においても、その兵器開発能力は非常に実戦的で、日本などよりよほどオリジナルティがある。そんな国なので、スタジアムその他は取りあえず開催まではなんとかなりそうだし、多少の無理はFIFAとレアメタルを狙う先進諸国が無理やりにプッシュするだろう、というのは本書の結論に同意である。
ただやっぱり治安だけは後2年ではどうにもならないだろうな、というのが正直な感想。まして日本は荒んできたとはいえ、平和ボケの礼儀正しい国。比較対象としてヨハネスブルグはつら過ぎる。暴力へのハードルが格段に低くて、命の価値が違う国があることを理解しなければ、逆に日本人が油断し過ぎ、なんてバッシングされかねない。後2年で少しでも状況が改善されますように。

2008.02.13

陸自TK-X、初公開!

防衛省は13日、平成22年度からの装備化を目指し国産開発中の陸上自衛隊の新型戦車(試作車両)を、神奈川県相模原市にある同省の研究施設で報道陣に公開した。
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(画像はMSNニュースより)
レオポルド2A5のショト装甲っぽい正面装甲、ルクレールのモジュール装甲っぽい側面装甲、チャレンジャー2のRPG防御スカートっぽい車体側面装甲と、まさに外見はいいとこ取りです。90式戦車で度々指摘されていた車長用の視察サイトは360°の視界が確保されており、押さえるところはちゃんと押さえています。これで戦場情報共有システム積んで7億円、量産効果でもう少し値段が下がるとしたら、カタログスペック上は非常にバランスの取れた戦車で、まさにお買い得。P-Xといい、国産兵器は価格破壊が起きちゃってます。何があったんだろ?
ただ、重量は44tで、目標の40tには届かず。防御に妥協しないとなると、このへんが限界、なんだろうな。
とりあえずタミヤは配備と同時にモデル化することが義務です。

2008.02.12

F/A-18C Day3rd

アカデミー1/72ボーイングF/A-18Cレガシーホーネット、完成しました。
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F/A-18CホーネットはA-7コルセアⅡおよびF-4ファントムⅡの後継として開発されたアメリカ海軍艦載戦闘機です。主にアビニオクスの改良を続けながら、F-35の登場まで現役にとどまることになっています。F/A-18C/Dを拡大・発展させたF/A-18E/Fスーパーホーネットの登場により、レガシーホーネットと呼称されるようになりました。
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アカデミーより発売されたキットは新金型で、機首のIFFアンテナなど追加されたF/A-18Cの最新バージョンを再現しています。クレオスの正規輸入はまだ始まっていないようですが、大好きな機体なのでジャーマンホビードラの並行輸入物を通販にて手に入れました。
超メジャー機ゆえに他メーカーは発売が早く、どのキットも一長一短ありましたが、このキットは現時点での決定版でしょう。スジ彫り・リベット併用で再現されたモールドは正確で、機体形状が複雑ゆえパーツ分割は複雑ですが、合いも良くパテ及び瞬着は最小限で済みます。キャノピーもスライド金型でΩ型を再現。ただ一点、エアインティークが深さ2cmぐらいで塞がっており、気になる方はかなりの工事が必要になります。
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武装もGBU-12、AIM-9L、AIM-7F、各種ポッドなど充実。このGBU-12だけでも別売で欲しいほど。
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塗装はキット付属のデカールよりCV-63キティ・ホーク搭載のVFA-192"GoldenDragons"をチョイス。OEFおよびOIFで実戦を経験し、爆撃スコアが生々しい機体です。機体上面にガイアの限定色、下面にクレオスH308を吹いた後、エナメルのフラットブラックでウォッシングしています。デカールはごく薄い上質なものですが、それゆえに取扱いに注意が必要で、デカール軟化剤の使用は控えめにした方がいいでしょう。
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まったくのストレート組みとはいえ、製作日数3日であることがキットの優秀さを証明しているのではないでしょうか。HannantsのTopSellingに居座っているのも納得。在庫の山のホーネットはすべてデカール取りにしようかと思うほど。正規輸入がはじまったらヨロシクナイ買い方をしてしまいそうです。

2008.02.11

書評<大気の海>


空気にも重さがあることに気づいたのは、かのガリレオ・ガリレイである。既に地動説を唱えて異端審問にかけられていた彼は、それを発表することはなかった。だがルネサンスの波は止まらず、もっとも身近であるがゆえに科学的的な探求が進んでいなかった”大気”について、ガリレオに続く多くの科学者たちがその構造と地球上の生物との関係を明らかにしていく。
本書は”大気”について研究してきた科学者を紹介しながら、それが生命を育み、守っているかを解き明かしていく。酸素と二酸化炭素の存在、偏西風と貿易風など汎地球的な大気の動き。そして対流圏から高度を上げていき、オゾン層から電離層の存在、そしてヴァン・アレン帯まで、地球を覆うそれらの発見の経緯から役割を紹介していく。海に乗り出すと同時に偏西風と貿易風を発見し、電波の存在を発見した時に電離層を発見する。本書は大気と生命の関係の物語であると同時に、個性的な科学者たちのノンフィクションでもある。
海が生命のすべての母であるなら、大気はその守護天使である。大気は太陽から光をうまく取り込み生命に届けながら、放射線から生命を守っている。そのいかに巧妙なことか。あらためて地球というシステムに畏敬の念を抱くを覚える1冊である。

2008.02.10

F/A-18C Day2nd

昨日、あらかた組み立ての終わったF/A-18Cはサフを吹いた後、エアブラシ塗装。
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途中経過の写真がなぜかピンボケ(泣)だったので、画像は本日の成果のみ。
まず、昨日書き忘れたことから。このキットはおおむね決定版キットと言っていいデキですが、唯一の難点はエアインティーク。取り入れ口のパーツが2cm奥ぐらいで塞がってます。自分は「見えないところは作らない」派なのでそのままですが、こだわる方はインティークの自作は大変なのではないかと。
塗装は脚など小物類などを先に塗装した後、機体を塗装。機首レドーム先端、エンジン排気口を吹いた後にマスキング。機首レドームの指定はクレオスH318ですが、鮮やか過ぎるのでグレーを混ぜて彩度を落としてます。ゴーストグレーはガイアの現用機カラーセットから、ライトゴーストグレーはセットの塗料が切れたため、クレオスH308。
その後、エナメルのブラックでウォッシング&スミ入れ。ここまでで本日は力尽きました。


2008.02.09

F/A-18C Day1st

MMDの例会で今年の抱負を「日本一早い新商品レビューの掲載(1/72ジェット機という狭い範囲ですが)を目指す」と発表してしまったので、早速いきましょう。
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アカデミーの完全新金型の1/72ボーイングF/A-18Cホーネットです。超メジャー機ですが、どのメーカーも金型が古く一長一短あるので、アカデミーのこのモデル化はなかなかのグッドチョイスです。クレオスの正規輸入が遅れているという話なので、ジャーマンホビードラの通販で取り寄せてます。
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主要部品はスジ彫りとアッサリめのリベット処理。ディテールもしっかりしています。もちろん2シーターとのコンバーチブル前提なので、いずれ発売されるでしょう。
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F/A-18Cの最新アップグレード版をモデル化しており、機首のIFFアンテナや背中のアンテナもモールド済み。カナダ空軍あたりのA型に戻そうとすると削り落す必要がありますが、この場合、足すよりは引く方が簡単なのでよしとしましょう。メジャー機なので別売エッチングも豊富にあり、、さらに秘密兵器も取り寄せているのですが、ここはアカデミーに敬意を表してまずはストレートで組みます。んで、6時間後。
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エアブラシ吹き一歩手前まで。ホーネットの機体形状ではどうしても部品分割が複雑になってしまうようで、パチピタとはいきませんが、パテ及び瞬着で埋める隙間は胴体上部などごくわずか。武装は各種セットされているので、AIM-9LとGBU-12およびFLIRポッドなどチョイスして、塗装に進みます。

2008.02.06

書評<新左翼とは何だったのか>


押井守という映画監督を追いかけていると、その作品にカントクの学生時代の左翼運動の影が色濃いことが印象に残る。<人狼>シリーズは言うに及ばず、<パトレイバー>さえも革命をテーマにしてしまった。カントクが経験した学生運動とは何だったのか。そのことを知るために本書を手に取ってみた。
著者はかつての新左翼の”なかのひと”。共産主義の分派についてなるべく一般ピープルに分かりやすく解説しながら(それでも似たような名前のセクトが数多く登場して混乱する)、時系列に沿って左翼運動から学生による新左翼運動が生まれる経緯、その活動、内ゲバの多発の原因などを解き明かしていく。
本書を読んだ感想というのは、たぶん年齢によって大きく左右されると思う。政治というものに多少なりとも興味を持った10代末期には東欧革命が起き、ソ連が崩壊していた自分などにとっては「かつて戦後日本でも革命が本気で心配(期待)された時期があった」と言われても、なかなか実感できない。まして国家権力に立ち向かう勢力の暴力が、結局内側に向かう理論は容易には理解し難い。
いわばその”狭い世界の状況”を本書は正直に書いてはいると思う。学生運動とはエリート意識がもたらしたものであったこと、生協などの既得権益を守るものであったことなど、”熱い思想革命”だけではなく、人間の行動として生々しい面を隠さない。
新書なんかでマルクス・レーニン主義や60・70年代当時のことを分かったような気になっては、押井カントクに怒られるだろう。ただ「人より自分はエライと思いこみ、その思想と行動が正しいと思いこむ」ことの危険性とその結末だけは理解できる。

2008.02.03

書評<萌えよ!陸自学校>


萌えイラストでミリタリーの世界を解説する入門書シリーズ。イカロス出版にはまあイロイロとご意見がある方もいらっしゃるでしょうが、自分はアリだと思ってます。
それはともかく、陸自の入門書としてはよく出来ているのではないかと。陸自の装備の解説という分かりやすい分野から出発し、陸自の基本的な組織割りや直轄部隊や方面隊の構成、その主要任務など幅広くカバー。狙うところはきしくも防衛白書と似ているのではないかと感じます。ミリオタにはいわずながもの知識がほとんどですが、欄外の”なかのひとの声”などのミニ知識、変わりつつある方面隊の役割などは新鮮な部分があるのではないかと。陸自の詳しい戦術などにはあんまり踏み込んでないので、ここは続編に期待かな。
それと褒めてあげたいのは、おふざけ的な解説に終わらず、シビリアンコントロールや近代民主主義と軍隊の関係に踏み込んでいるところ。自衛隊自体は様々な問題を抱えながら状況に対応しつつはあると思うけど、問題は結局ここに行きつく。そこのところは「国民の意識もずいぶん変わった」で済まさず、解決しなければいけない根本的な部分であることを常に考えなければならない。そういう問いかけは、今後のシリーズを通して忘れてほしくないものだ。

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