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2008.02.11

書評<大気の海>


空気にも重さがあることに気づいたのは、かのガリレオ・ガリレイである。既に地動説を唱えて異端審問にかけられていた彼は、それを発表することはなかった。だがルネサンスの波は止まらず、もっとも身近であるがゆえに科学的的な探求が進んでいなかった”大気”について、ガリレオに続く多くの科学者たちがその構造と地球上の生物との関係を明らかにしていく。
本書は”大気”について研究してきた科学者を紹介しながら、それが生命を育み、守っているかを解き明かしていく。酸素と二酸化炭素の存在、偏西風と貿易風など汎地球的な大気の動き。そして対流圏から高度を上げていき、オゾン層から電離層の存在、そしてヴァン・アレン帯まで、地球を覆うそれらの発見の経緯から役割を紹介していく。海に乗り出すと同時に偏西風と貿易風を発見し、電波の存在を発見した時に電離層を発見する。本書は大気と生命の関係の物語であると同時に、個性的な科学者たちのノンフィクションでもある。
海が生命のすべての母であるなら、大気はその守護天使である。大気は太陽から光をうまく取り込み生命に届けながら、放射線から生命を守っている。そのいかに巧妙なことか。あらためて地球というシステムに畏敬の念を抱くを覚える1冊である。

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