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2008.03.10

書評<戦争のリアル>


「モデルグラフィックス」から「世界の艦船」まで、硬軟織り交ぜたオタクぶりを見せる軍事評論家・岡部いさくと、これまた重度のミリオタである映画監督・押井守が”戦争のリアル”について対談したものをまとめたもの。陸自の携行火器から空自のFXなどの”戦争のディテール”を語ることにより、なぜ日本人が”戦争のリアル”を持ちえないかを検討していく。

こう書くとまともな対談集のようだが、実際には押井カントクが、うなずき役と兵器のスペックの検証役を兼ねた岡部さんに一方的に兵器に関するヨタ話を語っている。もちろん、日本人や自衛隊について結論めいたものは出るのだが、まあ自分をはじめとしたカントクのファンなら90年代から聞いていることである。
カントクを擁護すれば、例えばある一定予算内で防衛省が購入する正面装備を自由に選べと百人のミリオタに聞いたら、百通りの答えが返って来るのも確か。安価で効果絶大なRPG-7を装備していない陸自は”戦争のリアル”を追求していないと言われても、百通りの反論ができるのも確か(笑)。
とにかく、カントクがRPG-7とハリアーが好きなことの方が印象に残る対談集である。

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Comments

この書評見て、この本買っちゃいました。カラシニコフだってカラシニコフが一人で作ったんじゃないとか、踏切に戦車とか、妙に納得する場所が個別にあちこちにありました。一応一般読者を意識した膨大な注釈も却って面白くて、決してあらずもがなの注釈ではありませんね。

>みに・ミーさん
この書評は、カントクのファン以外は買わないように、という警告のはずだったんですが(笑)。
それはともかく、注釈によってバランスを取ろうとしているところは、編集者の良心を感じますね。

あはは、私は特に押井守ファンというわけではありません(岡部いさくも…)。でも軍事に関する単なるネタの集積(それが全体的にどちらを指向しているか、あるいはどこも指向していないかにかかわらず)として、結構楽しめました。だってこの二人が顔を合わせれば、陸海空いろんな話題に飛び火することは間違いありませんもん。

>みに・ミーさん
おっしゃるとおり、着地点が見えない本なんですが、楽しめたのなら何よりです。
個人的には、岡部さんにもっと反論して欲しかったですね。

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