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書評<コンコルド狂想曲>


自分がほんの子供の頃、未来のヒコーキのイメージとはボーイング2707、つまりアメリカ製のSST(SuperSonicTransporter;超音速輸送機)であった。いいオッサンになった今、自分が乗るエアライナーは、ハッキリ言えば40年前のボーイング707と大差ないワイドボディ機である。だが、確かに世界の航空業界がSSTを巡って右往左往した時期があった。本書はヨーロッパとアメリカ、ロシアで繰り広げられたSST開発競争を記したものである。
ボーイング707の成功によって、アメリカによる航空機市場独占の危機感を覚えたフランスとイギリスの航空機メーカーが、大同団結を決意して開発を始めたコンコルド。そして、それに対抗するために開発が計画されたアメリカのSST。西側への技術的優位を示そうと、ソ連はツポレフにSSTの開発を命じる。コンコルド、US/SST、Tu-144の計画と開発を軸にして、まだ見ぬ高速旅客機市場を巡っての大国のメンツをかけた競争が描かれている。その駆け引きは、巨額の開発費がかかるエアライナーの新規開発とは政治そのものであることがよく分かる。
著者の思い込みによる多少の間違いや共著ゆえの矛盾はあるものの、概ね当時の状況が理解できるノンフィクションだ。

航空雑誌のバックナンバーを見直すと、コンコルド以後も定期的にSST開発の話題が出る。だが、現在に至るまでそれは実現せず、石油高騰や通信インフラの発達など、SSTの開発を後押しする状況にはない。そんな状況の中で、一部の富裕層に小型SSTを望む市場があるのか?そんな未確定な市場に向けて、小型とはいえSST開発の企画があるのは、やっぱりSSTが航空技術者の夢、だからなんだろうな、きっと。

初版2008/02 イカロス出版/ハードカバー

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Comments

なるほど~。
そういう動きにはわりと敏感に反応していたプラモ業界。
そう言えば出ていましたね。可変翼の夢のSSTのプラモ。
日本で発売されていたものには日航の鶴のマークがついていませんでしたっけ?

Posted by: みに・ミー | 2008.03.24 at 08:17

>みに・ミーさん
何せスタイルは抜群ですからね。
日航マークのSSTのキットはたぶん”現存しない”レベルだと思いますが、レベル製のパンナム航空版は昨年、再版されてます。レトロ・フューチャーっていうんでしょうか?パッケージからしていい雰囲気ですよ。

Posted by: ウイングバック | 2008.03.24 at 21:45

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