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書評<左翼はどこへ行ったのか!>

今の日本は右傾化している、そうである。まあそれはともかくとして、ある一定の支持を除いて、いわゆる左翼勢力にかつての勢いがないことは確かである。では、熱く革命を語った彼・彼女らと、その後を継ぐ者たちは今どこにいるのか?フリーターの労働ユニオンや沖縄の平和運動を中心に、日本の左翼勢力の現状を追う。

別冊宝島とはいえ、はっきり言って消化不良である。個人的には、正社員も契約社員も不幸な現状を変えようとする労働ユニオンを”左翼勢力”とまで思えないし、沖縄の平和運動もある程度までは理解できる。
ミリオタとして知りたいのは「無防備都市宣言」とかいう運動を繰り広げる”脳内お花畑”な方々のことである。アメリカ海軍の艦艇が入港するときは反対をコールし、人民解放軍艦艇入港の際には沈黙。自衛隊のやること成すことにとにかくケチをつける。そんなプロ市民と呼ばれる方々はどこから生まれ、どこに住み、その最終目的はなんなのか?資本主義・自由主義を柱にする日本の体制に反することが左翼とするなら、プロ市民の彼・彼女らこそが今の日本の左翼勢力だと、個人的には思うのだが。
本書のあとがきで「団塊世代の活動家に触れることができなかったので、次はそこらへんを」とあるが、プロ市民の方々の実態についてもレポートお願いします、編集部さん。

初版2008/04 宝島社/ムック

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書評<子ども兵の戦争>


現代の紛争で、その存在が当たり前になりつつあるのが子ども兵だ。アフリカやアジアの反政府ゲリラを中心に、驚くほどのパーセンテージで子ども兵が戦力となっている。世界のあらゆる文化でタブーとされていた子ども兵が、にわかに増加しているのはなぜか?ここを出発点に、本書は子ども兵に関する傾向とその対策をまとめている。
その内容は、正直言って目をそむけたくなるものだ。子ども兵は誘拐され、また貧しさゆえに自主的に武装組織に加わる。非力な彼らが戦力になりうるのは、小火器の小型化によるところが大きい。そして子どもゆえの無警戒さゆえ、ときに大人よりも残酷で、勇敢な兵士になる。武装組織も麻薬など強制的な手段により、子ども兵を組織に縛り付け、”消耗品”として扱う。とにかく、道徳も何もあったものではない。
なので、著者が訴える対策も現実的なものだ。子ども兵を使う組織に、メリットよりもデメリットが大きいと認識させること。大国からの援助のやり方、企業の姿勢など、それは広範囲にわたる。
それとともに、国連の平和維持軍などで紛争地帯に派遣される先進各国の兵士にも、現実に即したROE(交戦規則)の規定や訓練を施すを提案している。特殊部隊のプロでさえ、子どもを撃つのはためらわれる。が、平和維持軍に犠牲者が出て、撤退の憂き目にあったりすれば、ソマリアの繰り返しだ。

大国の資源確保競争の裏側で、その利権を奪う合う凄惨な紛争。本書はその実相の一端を明らかにしている。

初版2006/06 NHK出版/ハードカバー

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F-16C-Block50 Day3rd&4th

こちらも少しずつ弄っていたF-16C、全体塗装。
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ギリシャ空軍のF-16C Block50はアメリカ海軍のアドバーザリー機として導入されたF-16Nの塗装と一緒。エーゲ海の海面色によく合うんだそうです。KWATさんに教わったハセガワのF-16Nの説明書の指定はブルー系のグレーはC73エアクラフトグレー、他の2色のグレーがC324および、C334+C317グレーの混色になってます。ですが、実機写真とどうも違うので、C73にはC74エアスペオリティブルーを少量加えてブルーを強調、C334+C317グレーの混色にC336ヘンプを3割ほど添加して”腐った感じ”を強調しています。あくまで個人的に納得する色調ですので、”なんか違うんじゃない?”というツッコミはなしで(笑)。

それと、今回塗装時に使った新商品のmr.コンパウンド「荒目」がなかなか良かったので紹介。自分はよくエアブラシの塗料が濃すぎたりして塗面を荒らすのですが、こいつで磨くとキレイになります。液状なのでカスも残りづらい。もちろん、ツヤが違ってしまったり、塗膜が薄いと下地が出たりしますが、サンドペーパーかけるよりは精神衛生上いいのではないかと。

なんかね、ちょっと前に敷布団を換えて以来、なぜか寝不足気味で体調不良なので今日はここまで。柔らかい布団に換えたら眠れなくなるとは、つくづくも自分の貧乏性を感じる今日この頃。

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CF-18A Day2nd&3rd

ちょこちょこ弄っていたCF-18A、いよいよ全体塗装。
ハセガワの限定版のデカールを使って記念塗装に仕上げます。特別塗装の2色のブルーのうち、インディブルー系は塗装、ライトブルー系はデカールの予定でしたが、ハセガワのキット用のデカールが思ったよりもアカデミーのキットに合わず、大面積部分はデカールにカラーに合わせた塗装。スケールキットとはいえ、各社のディフォルメによりプロポーションが違うのは当たり前ですが、アカデミーのホーネットはハセガワのより翼面積が10%増しというのも、ちょっと違い過ぎるのではないかと(笑)。
ともかく、レドーム及び排気口近辺を先に塗装し、シャドーを入れた後、まずインディブルー系をエアブラシ。
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ブルーはインディブルーにコバルトブルーを2割ほど加えたもの。フォロースルーキャノピーのデカールが付属しているので、そのカラーに合わせてあります。
ところが意外なことに、この濃い目のブルーが下地をあまり隠ぺいしない!現用機なのでほぼ無意識にシャドーを入れてしまったのですが、これが失敗。意図するようなところまでずいぶんと重ね吹きしてます。鮮やか過ぎるからかなあ。
マスキングした後、次はライトブルー系を塗装。
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こちらはエアスペオリティブルーにコバルトブルーなど加えて、これもデカールにあわせて調色。
さらにマスキングして、本来の制空迷彩を吹きます。下面をクレオスH308グレーで塗装。さらにマスキングして上面をクレオスH337グレイッシュブルーを塗装。
そして、毎度のごとく八百万の神に祈りながら、マスキングを剥がします。
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翼端あたりに多少のカブリがありますが、ほぼ成功。ややベッタリした感じになったけど、ここはウォッシングでなんとかしましょう。

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書評<チャーリー・ウィルソンズ・ウォー >

ときはアフガニスタンで、ムジャヒディンたちがソ連軍に絶望的な抵抗を続けていた80年代。”チャーリーズ・エンジェル”と呼ばれる美人秘書たちを侍らせ、スキャンダルをたびたび起こしながらも、選挙区の人々にはなぜか愛されるアメリカ下院議員、チャーリー・ウィルソンは、とある女性との出会いにより、心に秘めていた正義を呼び起こし、ムジャヒディンたちを支援することを心に決める。議会や予算委員会で巧妙に振舞いながら、ムジャヒディンたちを支援する予算を取りつけるチャーリー。その途上、彼は支援の実行部隊であるCIAの中でも異端児であるガストと出会う。2人が出会った後、ムジャヒディンたちへの支援は急速に変化し始める。


近日公開の映画ではハリウッドらしく骨抜きにされているようだが(予告編と本編にエラく落差があるらしいとの情報も)、原作となる本書はアフガニスタンでソ連を撤退させたムジャヒディンたちの戦いの影で繰り広げられた、アメリカ議会とCIA内部の戦いの実相を、2人の男を中心に描いた硬派なノンフィクションだ。なにせ読了に1カ月かかった(笑)。
共産主義者たちを苦戦させるためにムジャヒディンたちをアメリカが支援していたのはよく知られている話だが、本書はそれがたった1人の、類い希なる個性を持った下院議員を中心に廻っていたことを明らかにする。
意外な事実の指摘もある。それはウィルソンはじめとするアメリカ当局の上層部の人たちが、ムジャヒディンに魅せられていたことだ。アメリカが、ソ連を倒すための手段として彼らを利用していたことには違いないが、イスラムの戦士を支援する理由は決してそれだけではなかった。

9.11同時多発テロ後、アメリカのいう”テロとの戦い”の主敵が、アメリカがアフガニスタンで育てたムジャヒディンである皮肉がときどき指摘される。それがアメリカ人の”悪意のエゴ”ではなく”善意のエゴ”でもたらされたという、2重のアイロニー。”チャーリーの戦争”をとおして、そんなことが透けて見える気がする。

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書評<オタクはすでに死んでいる >


本書はトークライブにて披露された「オタク・イズ・デッド」をほぼ書籍化したものだ。

基本的な結論はこうだ。オタク各分野が細分化されるに従い、オタクにあった共通意識や知識みたいなものが失われ、いわば”オタク共和国”が滅んでしまったこと。それは日本社会の変容とともに、必然であったこと。今後は”オタク共和国”国民として生きるのではなく、個人が情報を発信していくこと。

まったく同意である。と同時に、現在はユーゴスラビアが解体され、各民族が国家として再出発しているように、主にネット上において、解体された各分野のオタクたちが”再編”されつつある状況にあるんだと思う。

自分の場合、パチンコ、夜の街といったところを主戦場にする”ノーマル”な営業マンにもなれないし、かといって自分の趣味を自分で全面的に肯定する気にもなれず、ネット上を彷徨っているところを牧師様に導かれて、ネット上で仲間を得て、リアルにも仲間を得た。オタクとしてのホームに帰ることができたのだ。今、自分がこの位置に立っているのは、このネットワークなしではありえず、本当に支えになっている。感謝としか言いようがない。

だが、小さく細分された国家を支えていくことに多くの知恵が必要なことは、現実世界を見ても分かることだ。少数民族が生きていくためには、自分で自分の世界を支えなければならない。そんなことを考えさせられる本であった。

※mixiとは別内容で書評を展開しようと思ってたんですが、やっぱり第一印象を素直に書いたものをブログにも掲載しました。ダブって読まれた方はご容赦を。

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書評<朽ちていった命>


1999年9月に発生した。茨城県東海村での臨界事故。本書は、核燃料の加工作業中に大量の放射線を浴びた患者と、放射線障害という現在の医療では立ち向かえない悪魔と戦った医師の83日間の記録である。

本書はNHKスペシャルを書籍化したもので、事故の発生から、放射線障害の患者の死亡までを克明に記録している。医師や看護師、患者の家族の心の描写もあるが、基本的には極めてドライな視点の記録だ。
それゆえに、放射線の恐ろしさをまざまざと見せつけられる。まず冒頭に掲載された砕け散った染色体の写真に、心にガツンと衝撃を打ち込まれる。そしてDNAが砕け散っているゆえに、生きていればあたりまえの”肉体の再生”が成されず、まさに”朽ちていく”としか表現できない時間の経過は、結末が分かっているのに読むのを止められない。

本来はコントロールできないエネルギーを無理矢理にコントロールしている人類。信じている宗教は科学技術である、といってもいい自分でも、そのことについて考えされられてしまうノンフィクションだ。

初版2006/09  新潮社/新潮文庫

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スカイ・クロラ特典付前売り券発売

個人的備忘録として。

押井守カントクの新作アニメ、<スカイ・クロラ>の特典付前売券が4/19より発売される。

マニアックなアニメまで3種の特典を用意して、複数買いさせようとするとは・・・イヤな世の中になったもんだ。
とりあえず、ワーナーマイカルシネマ江別に行くのを忘れないようにしよう。

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書評<機関銃の社会史>


本書でいう機関銃とは、連射できる自動火器のことを広く捉えている。その原理の発明と実用化から、その能力を発揮した第1次世界大戦までを中心に、機関銃がいかに革命的な兵器として登場し、人類社会の歴史そのものを変えてしまったかを辿る。

機関銃の作動原理そのものの発明は決して新しいものではない。だが、治金技術や機械技術の発達により実用化されたのは、アメリカの南北戦争前夜のことだった。だが、既成の価値観に凝り固まったヨーロッパ各国の将軍をはじめとした士官たちは、機関銃の登場を重要視しなかった。戦争とは騎士道精神のもと、一対一で人間同士がぶつかるものだという価値観は、機関銃がアフリカの植民地の暴動を鎮圧するのに威力を発揮しようとも、人種差別という偏見も加わり、覆されることはなかった。
それが変わったのは、第1次大戦であった。産業革命がそれまで騎士のものだった戦争を国家同士の総力戦に変えていたことに、将軍たちは気づいていなかった。小数が配備されていた機関銃は、産業革命によって発達した機械技術の発達により完成の域に達しており、兵士たちの一斉突撃を容易に防御した。その現実を見た軍人たちは、産業革命によって発達した大量生産ラインに機関銃の増産を指示した。死傷した兵士の補充は、これまた産業革命によって発達した鉄道により、従来より容易に、大量に達成される。その兵士たちは、頑迷な士官たちの命令により突撃を敢行して機関銃により命を落とす。この3年も続いた凄惨な悪循環の中心にいたものこそ機関銃であった。戦争は、社会は、機関銃により永遠に変わってしまったのだ。
現代の目から見れば、銃火器の発達の歴史の流れの中に埋没している機関銃の登場が、いかに戦争を変え、歴史を変えたかを本書は明かしている。題目が”社会史”であるのはダテではない。

初版2008/02 平凡社/平凡社ライブラリー

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CF-18A Day1st

本来、複数同時進行は苦手なのですが、SHSもせまっているので、持ち込み候補作に取り掛かります。
アカデミーの新作、1/72F-18Cホーネットを小改造して、このCF-18Aのアニバーサリー機に仕上げます。
Cf18
まずは例によって機体組み立てから。
アカデミーのF-18Cはアメリカ海軍の最新バージョンを再現しているので、コクピットのウインドシールド前のIFFアンテナと、機首側面の余分なアンテナフェアリングを削り落とします。
さらにF-18Cの幾つかの輸出バージョンには、不明機ID用のライトがポートサイドにあるのですが、これはアカデミーもバリエーションの発売を考えているらしく、穴のガイドおよびクリアーパーツが付属しているので苦労なくバージョン変更できます。
あと、コクピット背後もアンテナフェアリングのパーツ用の取り付け穴が開いているので、瞬着で埋めてやります。
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それにしても、昔はカナダのホーネットをCF-188といっていたと思うんだけど、最近は海外のHP見てもCF-18Aになってるのね。いつからこうなったんだろう。フシギだ。

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書評<世界自動車戦争論 1>


とある月刊誌に、”ブランド”というキーワードを念頭において連載された自動車評論をまとめたもの。初っ端に日産GT-Rの評論と著者の考えるブランド論を掲げ、現在の世界の”ブランド車”たちがどのようなコンセプトをもとに開発されたかという各論に入っていく。
乱暴に著者の主張を一言にまとめると「グローバル化した現在の市場において、メーカー各社の技術的格差は素人が思うより少ない。自動車はブランドで選ぶ時代だ」ということ。確かに、本書に登場するメーカー各社の最上級車には、メーカーの考える自らのアイデンティティが詰まっていて、著者のまとめに一部の隙もない。
個人的に著者に今後突っ込んでほしいのは、高級車ではなく我々大衆が乗る「フツーの乗用車」ではそのブランド戦略はいかに展開されているのか?もっというと、日本の自動車輸出を下支えしているBRICsはじめとした新興市場において、中国やインドといった新興メーカーにどう立ち向かえばいいのか?高級車の評論もいいが、そのへんの事情の評論ももっと読みたい。

初版2008/04 双葉社/ソフトカバー

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書評<アヴェンジャー>


とある豊かな家庭に生まれたアメリカの青年が、内戦下の旧ユーゴスラビアに難民支援ボランティアとして入国したものの、民兵に虐殺された。彼の父は、政府系のネットワークから<アヴェンジャー>と呼ばれる復讐者の存在を知らされ、彼に息子の復讐を依頼する。相手は、旧ユーゴスラビアの裏の顔役であり、現在は中央アメリカ某所に潜伏しているセルビア人。<アベンジャー>は入念な下準備を経て、捜索を開始する。
だが、対象はCIAの秘密作戦の囮になる存在だった。作戦の妨害となる<アヴェンジャー>の行動を阻止すべく、CIAも動き出す。

9.11同時テロ直後に書き下ろした、フォーサイスの作品の文庫版。複数の人物たちの過去と現在を描きながら、それが交錯するクライマックスに向かうフォーサイスお馴染みのストーリーは健在。ベトナム戦争を戦った特殊部隊の中でも、とびきり危険な”トンネルネズミ”と呼ばれる部隊。行方不明の人物の存在を探索するコンサルタント。そして、国境を超えることのできない警察の代わりに、悪人を探し出して司法の場に突き出す復讐人。あまり一般には知られていない仕事やその事実を多く交えながら、秘密諜報作戦をフィクションとして描くというスタイルもまた健在。
ただねえ、例えば「ネゴシェイター」を読んだ時の新鮮な感じが正直ないのね。しょっぱなの”トンネルネズミ”の知識があったからか、ユーゴ内戦や9.11から時間が経ち過ぎていて、実在する登場人物たちの存在感が薄くなっているからか?うーん、文庫になってからなんて言わずに、ハードカバーで読んだ方がよかったのかも。

初版2008/03 角川書店/角川文庫

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書評<不安な兵士たち>


本書はフランス人の女性社会学者が、丹念な取材と数多くの自衛官へのインタビューを元に、自衛官たちの内面と自衛隊そのものが持つ特殊性を研究したものである。
いうまでもなく、自衛隊は憲法違反の存在であり、戦後長らくは日蔭者に甘んじてきた。また、軍隊としては解散させられながら、国防の機能を復活させるために、旧軍の伝統を一部引き継いでいる。このように根本的な矛盾を抱えた、総勢24万人もの組織の存在は、社会学者の研究対象として興味深いことは理解できる。
とはいえ、自衛隊が抱える問題は、小難しく解釈すればするほど、他国の軍隊や我々の所属する一般社会の組織の抱える問題に近づいていく、というのが読後の印象。自分たちの仕事へのプライドをどう担保するか?軍隊という組織の中では、まだまだ異分子である女性問題。どこの軍隊でも、どこの会社でも、まだまだ普遍的な問題だ。
冷戦終結後、軍隊の存在感が相対的に薄くなっている現在(もちろん、アメリカ以外のハナシ)、こうして自己の存在矛盾に長いこと悩んできた自衛隊の方が、むしろ社会の変化に素早く馴染んでいるのではないか?というのが多分、本書の結論。不祥事の問題はあれど、昨今の自衛隊の変化を見ているとなるほどな、とは思う。
本論とは別に印象に残ったのは、著者が各駐屯地の歴史資料館をずいぶんと重視していること。著者は、そこに旧軍との繋がりと歴史の作為的選択を見出している。駐屯地祭りに顔を出しても、そんなに重要視されているようには感じられないんだけどなあ。
ともあれ、リベラルな社会学者から見ると我が自衛隊がどう見えるか?それなりに興味深い研究書です。

初版2008/03 原書房/ソフトカバー

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書評<とある飛空士への追憶>


BARSERGAさん推奨)
”大瀑布”と呼ばれる大海を2つに分ける滝の存在と、水素をエネルギー源とする燃料電池により、プロペラ動力の飛行機が極端に発達した世界。天ツ上皇国とレヴァーム帝国は世界を2つに割って戦争を繰り広げていた。
2つの国民の混血児であるシャルルは差別されながらも、抜群のウデを持つ飛空士。彼がお妃候補を乗せて、敵中を長躯12,000kmを単独飛行する任務を命じられるところから、物語は始まる。

身分違いの少年と少女が紡ぐ典型的なボーイ・ミーツ・ガールの物語だが、何よりも空戦シーンの描写が素晴らしい。技術レベルはプロペラ動力の限界あたりの戦闘機が、ヒラヒラと舞い、雲間を駆け抜けるシーンは、宮崎駿作品あるいは「王立宇宙軍」の空戦シーンを思い起こさせる。さらに、いくつかの有名なパイロットの自伝を思い起こさせるシーンもあり、その描写は秀逸だ。
もちろん、自分の感情を心の奥底に押し込めてしまったお姫様が、だんだんと生き生きとした少女になっていくメインプロットの組み立てもイイ。ライトノベルと呼ぶにはもったいない作品だ。

初版/2008/02   小学館/小学館ガガガ文庫

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書評<港区ではベンツがカローラの6倍売れている>


格差社会といわれる2008年の日本。報道ステーションあたりでよく訊く言葉だが、自分なんかはお金持ちの生活なんて想像もつかないし、逆に底辺部分の生活が想像つかないという人もいるだろう。この本ではベンツやクルーザー、別荘など分かりやすいアイテムを軸に、日本の天と地を調べたものである。
そうは言っても著者は”フェラーリ教”の信者を名乗るお笑い系自動車評論家なので、そう深刻な感じの本ではない。坊ちゃん育ちと自負する著者自らの人脈を元に、エネルギッシュなお金持ちの生活をレポートしたり、ある種のモラトリアム感さえ感じられる西成を取材する。もちろん、著者の主観だけではなく、そのレポートの裏打ちとして、各種の調査数字も掲載されている。

著者独特の文体のせいもあって、ベンツに乗るお金持ちの方が実は追い立てられ、縛られて生活していたり、軽自動車にビンボー人がお気楽に生活しているようにも見える。確かに、”格差社会”とは著者がいうように日本が均質化した社会構成から、良く言えば自由に、悪く言えばバラバラになりつつあることの結果なのだろう。それは田舎の身内を見れば分かることで、叔父、叔母はみんな結婚し、子供ももうけている立派な大人だが、自分の従妹を見渡すと、海外旅行大好き40代独身女、オシャレな40代子なし夫婦、オタクな30代独身男(オレ)、南米男と国際結婚する30代女など、はぐれ者がたくさんいる。それはいいことなのか悪いことなのか。30年ぐらい経たないと、歴史の評価はできそうにない。

初版2008/02 扶桑社/新書

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書評<軍事とロジスティクス>


古来より戦争計画において何より大切なのは”補給”である。特に第1次大戦以後は消耗戦かつ総力戦であり、補給の問題をかかえていない軍隊など存在しない。本書では、補給をもっと広い範囲の意味を持つ”ロジスティクス”に置き換えて、アメリカを中心に、現代の軍隊がどのような手段を持って展開し、その前線の部隊に対してどのような手段で補給しているのかを解説していく。
とはいっても、アメリカ軍が民間に比べて特別、高級なシステムを持ってるわけではない。たとえば、ワタシの勤めているとある食品メーカーに置き換えてみる。本社工場は広島だが、商品は埼玉や名古屋、そして札幌に保管する。これが”事前集積”である。工場→倉庫→得意先という商品の流れはバーコードで逐一追い、入荷日時や行き先の変更に対応できるようにする。これがアメリカ軍のいうところの”RFIDタグ”である。民間では、倉庫の在庫を過去のデータから自動発注するところまで進んでいるが、さすがのアメリカ軍もそこは導入検討中のようだ。ロジスティクスは、こんな風に身近に置き換えると分かりやすい。

本書の指摘で重要だと思うのは、進む軍の業務の民間委託が果たして経費節減になっているのか、ということである。現代戦は後方も前線もなく、危険が少ないとされ民間委託される補給部隊ももちろんターゲットになる。そうなると、保険代金その他で軍そのものが輸送を担当するよりも高くつき、さらに危険が増大すれば民間人は仕事を放棄することもありうる。このようなリスクと国家安全保障を天秤にかけることができるか?個人的には大いに疑問だ。

初版2008/03  日経BP社/ハードカバー

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