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書評<アヴェンジャー>


とある豊かな家庭に生まれたアメリカの青年が、内戦下の旧ユーゴスラビアに難民支援ボランティアとして入国したものの、民兵に虐殺された。彼の父は、政府系のネットワークから<アヴェンジャー>と呼ばれる復讐者の存在を知らされ、彼に息子の復讐を依頼する。相手は、旧ユーゴスラビアの裏の顔役であり、現在は中央アメリカ某所に潜伏しているセルビア人。<アベンジャー>は入念な下準備を経て、捜索を開始する。
だが、対象はCIAの秘密作戦の囮になる存在だった。作戦の妨害となる<アヴェンジャー>の行動を阻止すべく、CIAも動き出す。

9.11同時テロ直後に書き下ろした、フォーサイスの作品の文庫版。複数の人物たちの過去と現在を描きながら、それが交錯するクライマックスに向かうフォーサイスお馴染みのストーリーは健在。ベトナム戦争を戦った特殊部隊の中でも、とびきり危険な”トンネルネズミ”と呼ばれる部隊。行方不明の人物の存在を探索するコンサルタント。そして、国境を超えることのできない警察の代わりに、悪人を探し出して司法の場に突き出す復讐人。あまり一般には知られていない仕事やその事実を多く交えながら、秘密諜報作戦をフィクションとして描くというスタイルもまた健在。
ただねえ、例えば「ネゴシェイター」を読んだ時の新鮮な感じが正直ないのね。しょっぱなの”トンネルネズミ”の知識があったからか、ユーゴ内戦や9.11から時間が経ち過ぎていて、実在する登場人物たちの存在感が薄くなっているからか?うーん、文庫になってからなんて言わずに、ハードカバーで読んだ方がよかったのかも。

初版2008/03 角川書店/角川文庫

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