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2008.04.30

書評<子ども兵の戦争>


現代の紛争で、その存在が当たり前になりつつあるのが子ども兵だ。アフリカやアジアの反政府ゲリラを中心に、驚くほどのパーセンテージで子ども兵が戦力となっている。世界のあらゆる文化でタブーとされていた子ども兵が、にわかに増加しているのはなぜか?ここを出発点に、本書は子ども兵に関する傾向とその対策をまとめている。
その内容は、正直言って目をそむけたくなるものだ。子ども兵は誘拐され、また貧しさゆえに自主的に武装組織に加わる。非力な彼らが戦力になりうるのは、小火器の小型化によるところが大きい。そして子どもゆえの無警戒さゆえ、ときに大人よりも残酷で、勇敢な兵士になる。武装組織も麻薬など強制的な手段により、子ども兵を組織に縛り付け、”消耗品”として扱う。とにかく、道徳も何もあったものではない。
なので、著者が訴える対策も現実的なものだ。子ども兵を使う組織に、メリットよりもデメリットが大きいと認識させること。大国からの援助のやり方、企業の姿勢など、それは広範囲にわたる。
それとともに、国連の平和維持軍などで紛争地帯に派遣される先進各国の兵士にも、現実に即したROE(交戦規則)の規定や訓練を施すを提案している。特殊部隊のプロでさえ、子どもを撃つのはためらわれる。が、平和維持軍に犠牲者が出て、撤退の憂き目にあったりすれば、ソマリアの繰り返しだ。

大国の資源確保競争の裏側で、その利権を奪う合う凄惨な紛争。本書はその実相の一端を明らかにしている。

初版2006/06 NHK出版/ハードカバー

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