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2008.06.30

書評<空の中>

四国沖の空自訓練海域にて、オールジャパンで開発中だったリージョナルジェットと、空自のF-15Jイーグルの墜落事故が発生する。F-15Jの事故の際にかろうじて生き残ったパイロットは、そこに未確認飛行体を確認していた。彼女は、リージョナルジェットの事故調査にあたっていた調査員とともに、未確認飛行体との接触に成功する。
一方、空自の事故で父親を失った少年も、奇妙な生物を拾う。その生物は、父親の事故の際に未確認飛行体から剥がれ落ちたものだった。2つの事件は、やがて交差していく。


文庫でけっこうなボリュームだが、4時間弱で一気に読み切ってしまった。舞台となる”空の中”や空自の基地などの正確な描写でリアリティを高めながら、魅力的なキャラクターがストーリーをどんどん動かしていくので、物語の中ににどんどん引き込まれていく。
ストーリーの柱になるのは”コミュニケーションによるお互いの理解不足の解消”だ。まさしくツンデレと呼ぶに相応しい女性イーグルライダーと、表面は軽薄だが芯のある男。全と個の概念を持たない生命体と、ややこしい集団の中で生きている人間。どこかですれ違ってしまった幼馴染み。肉親を失い、お互いを許すことのできない母と娘。物語が進んでいくにつれて、それぞれの関係が徐々に近づいていくのが、妙に心地よい。

それと、物語の舞台の1つの高知の方言が良いんだよなあ。女の子が都市で出てきて、よそいきの言葉でしゃべっても、どこかに残る方言がちゃんと再現されてるんだよなあ(東京の人には分んないかも)。ホント、著者の本が売れるのも納得です。

初版2008/06 角川書店/角川文庫。

2008.06.29

50万ヒット御礼

出張から帰ってブログ見ると、いつの間にか50万ヒットを超えてました。
50万ヒット記念企画とか考えてたのに、タイミングを逃しました(泣)。
それなりに人生いろいろありましたが、1つのことを4年半続けることができているので、それなりに幸運だったということでしょう。
今後ともよろしくお願いします。

2008.06.23

書評<萌えよ!戦車学校III型>


もう3巻まできた、女の子たちが兵器、戦術、歴史などを解説していく”萌え戦”。当初はキワモノ扱いでしたが、ここまで来るとしっかりショーバイになるってことなんでしょうねえ。まあ、オレも買ってるわけだが。
というわけで、今回は主にMC☆アクシズ連載をまとめたものであり、W.W.Ⅱの戦車戦のうち、前半戦を扱っている。ドイツをはさんで西部戦線と東部戦線、アフリカ戦線に太平洋戦線と、それぞれの戦場における有名な会戦を作戦、兵器、注目すべきエピソードに分けて解説している。「何月何日、アレがコレした」というような歴史書を読むのは案外苦痛で時間がかかり、短時間で”ミリオタの一般常識”を学べると思えば、自分としてはありがたい本であると思う。
それと本書を褒めていいのは、例えば専門書でも「戦車を机上の空論で2タイプに分けたイギリス陸軍のドクトリンはまったく的外れ」とされているような”常識”を、それには別の一面があったことを意識して解説していることである。物事を何でも一面から見て信じ込まないこと。表紙からは信じられないかもしれませんが、そんなこともくみ取れます。

初版2008/06  イカロス出版/ソフトカバー

2008.06.20

書評<クリスタル・サイレンス>

2071年、地球の各国が本格的に入植を始めている火星の北極冠で、高等生物の死骸が多数折り重なった地層が発見される。縄文時代の貝塚を思わせるため、考古学者であるサヤが調査隊の一員に選ばれる。そこは各国の利害の衝突から小規模な戦闘が多発し、また謎の疫病がはびこる危険な土地だった・・・。


シロウトとはいえ、書評を書いている人間が小説の「あとがき」に引きずられれるのは情けない話なのだが、この作品の場合はあとがきにある「冒頭のファースト・コンテスト風のお話は”釣り”で、物語の本質はAIが人間としての自我に目覚め、しかも恋愛するという典型的なサイバーパンクである」という以上の感想を持てなかった。途中でコロっと主題が変わるのである。もちろん、異星人とのコンタクトが放っておかれるわけではないが、明らかにネット上の世界がメインになっていく。一粒で2度おいしいと思うべきか、主題がすり替わっていると思うべきか。自分としては、後者だと思うのだが。

初版2005/11 早川書房/ハヤカワ文庫JA

2008.06.19

書評<海の友情―米国海軍と海上自衛隊>


BARSERGAさん推奨>

太平洋戦争後、軍が解体されて平和憲法が制定された日本において自衛隊が組織されたのは、朝鮮戦争に前後して兵力を朝鮮半島に集中させる必要のあったアメリカが、東アジアの”力の空白”を懸念したからである。この定説に大きな反論はないと思う。だが、そうした政治的な動きとは別に、海自発足とその発展の裏には旧帝国海軍の幹部たちとアメリカ海軍の幹部が育んだ個人と個人の関係も大きく影響していた。本書は海自発足の経緯を研究するために来日した将校が出会った海軍の男たちを通して、今日までのアメリカ海軍と海自の密接な関係を描くノンフィクションである。

自衛隊と旧軍の歴史はスッパリ断ち切られているのが建前だが、海自は特に旧海軍の伝統を色濃く残している。死線をくぐり抜けた旧海軍の将校たちがブルーウォーター・ネービーの復活をかけ、様々な努力を尽くした結果である。彼らは新たに”教師”となったアメリカ海軍からよく学んだ。その過程でアメリカ人は日本人の清廉さや優しさに触れ、日本人はアメリカ人の誠実さに触れ、友情を育む。だが、彼らは10年前は戦火を交えた兵士どうしである。彼らが深い絆を結ぶにいたった理由に、著者は”ともにイギリス海軍に学んだ海軍気質”を見る。共通の土台を持つ彼らは折に触れて関係を深め、海自は太平洋の安全保障を一翼を担うまでに成長し、歴史の転換点となる湾岸戦争後の掃海艇派遣に至ることになる。引退して老人になろうとも、かくしゃくと歴史を語る海軍軍人たちの誠実さの連続こそが、日本とアメリカの良好な関係を支えてきたことが分かる。海自の歴史の一面を知ることができるとともに、爽やかな読後感を残す良書である。

初版2001/01 中央公論新社/中央公論新書

2008.06.15

VF-1A Day1st

あるばさんのブログのコメント欄から密やかに始まった(笑)、プラネットダンス、もといバルキリー祭り。勢いのあるうちに製作をスタート。
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アイテムはハセガワ1/72VF-1Aスーパーバルキリーをチョイス。いわゆる”ブービーダック”ですね。自分がプラモに本格的に出戻った時期にちょうど発売されたもので、「オレたちが望んだバルキリーが発売された」と喜んだもんです。
評判を呼んでいるマクロスFの第10話に触発されて買いに走った「娘フロ。」をBGMにパチパチとパーツを切り離し始めたのはいいのですが、こんなに部品多かったっけ?と思うパーツの量。
おまけにエグゾーストノズルを後から差し込めないかと悪戦苦闘した挙げ句、あきらめるとかして時間を浪費。何気にヒケも多く、平面が多いのでサンディングもエッジ出しに手間がかかる。同じヒコーキとはいえ、けっこう勝手が違います。発売時に作ったときはこんなに時間取った記憶がないのですが。それだけイロイロ考えながら作るようになったってことかな。

2008.06.14

F-4N Completed

ハセガワ1/72F-4NファントムⅡ"JollyRogers"、完成しました。
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アメリカ海軍で長く使われたF-4ファントムⅡですが、それゆえ多くのサブタイプが存在します。F-4Nは"ProjectBeeLine"と命名された寿命延長計画によりF-4Bを改修したもので、外形上の相違点はエアインティーク上部の棒状のECMアンテナぐらいですが、先行して生産されていたF-4Jの装備を多く取り入れています。
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キットはハセガワ1/72をいつも通りストレート組み。ただし、垂直尾翼のピトー菅をファインモールドの金属製に交換、同じくファインモールドのシートベルトをシートに追加しています。追加工作というほどではありませんが、胴体上部のリベットを全面的に打ち直し、垂直尾翼にもリベットを打っています。
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塗装は付属のカルトグラフのデカールを使用し、VF-84"JollyRogers"のCAG機を再現しています。グレーはクレオスC315、ホワイトはクレオスC316で塗装図指定どおり。自分の場合はいつも、ほぼべったり塗装してしまうのですが、気分を変えて先にパネルラインに吹いたブラックを残し気味にして、その後クリアーを吹いた後コンパウンドで磨いて”ややグロスな感じ”に仕上げてます。が、完成すると、いつもとあんまり変わらないっす(泣)。
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カルトグラフのデカール、作業中はまったく問題なかったのですが、乾燥すると細かいものがポロっと取れたり、いつの間にかシルバリングができていたり。やっぱり油断するとダメっすね。
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受け継がれる"Skull&Crossbones"。こーゆーのが好きなんです。比べて見ると、骸骨の表情が変わっていたりして、面白いですね。
今回、製作途中に、確かに何か進化を掴んだ気がしたんですよね。でも完成するとあんまり変わらない(笑)。ここらへんが模型製作の楽しいところであり、難しいところ。ということで、まだまだいきますよー。

2008.06.11

書評<股旅フットボール>


基本的にJリーグを頂点にする日本のサッカーはヨーロッパのクラブ・システムを理想としている。地元に密着したクラブが”無数”に存在し、ピラミッドのすそ野を広くすること。いわゆる”百年構想”である。
その理想をもっとも体現し、そしてその現実に苦しんでいるのが地域リーグのクラブだ。著者は全国を巡り、各地の地域リーグのクラブをピックアップ、それに密着することによって、”百年構想”の光と影を描き出す。
地域リーグのクラブはその設立動機、施設や理念まで千差万別だ。バックにサッカー界のVIPの影がちらつくクラブ。企業や地域の都合に振り回されるクラブ。理念ばかりが先走り、現実にまったく追いつけないクラブ。
自分の印象では、意外にも施設は揃っていることが多い。能田 達規の「ORENGE」のような、典型的な「ビンボーが悪い」パターンではなく、クラブの成り立ちや目的に問題を内包している方が多い。誰もがプロを目指すわけではなく、ましてJ2まで含めてもプロリーグの加盟クラブ数にも限りがある。それゆえ、様々な摩擦がある。
「誰もがスポーツを楽しむ」という究極の理想を実現するには、まだ日本のスポーツそのものの地位が低い。その理想を実現するための過程が、地域リーグの現実なのだろう。本書がリポートするその厳しい現実に楽観を見るか、悲観を見るか?自分としては楽観なのだが、日本の東京や名古屋以外の地方そのもの発展がなあ・・・。

初版2008/04 東邦出版/ソフトカバー

2008.06.10

商品レビュー<耳毛カッター>

先週、お出かけの前にヒゲを剃ってたら耳毛がミョーに気になり、何気に3枚刃のカミソリをあてたら案の定、大出血。すぐにAmazonで衝動買いしたのが耳毛カッター。

ギザギザ刃の面が振動して毛をカットするので、安全面に問題はなし。耳自体が複雑な形をしていることもあって、一撫ですればすっきりキレイに、とはいきませんが、何回かなぞると飛び出ている長い毛が少しずつカットできます。目的は果たせるツールではないかと。
副次的に眉毛が濃い自分は、眉毛カッターに使ってます。むしろ、こっちの方がクセになりそう。

2008.06.09

F-4N Day4th

F-4Nは最終工程近く。デカール貼りに突入。
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デカールはカルトグラフ。硬くてしっかりしているが、デカール軟化剤で素直に貼りつく。5年落ちでこの品質、マジで国産メーカーには見習ってほしい。
しっかし、ネービー・ファントム、かっけー!久々に自己満足できる仕上がりになりそうです。

2008.06.08

陸自旭川駐屯地記念行事に行ってきた

YOSAKOI?なんだそれ?ということで市内の行事にまったく関わりを持ちたくないので、陸自旭川駐屯地記念行事に行ってきた。
旭川駐屯地に来たのははじめて。8:30開門のところ、9:00過ぎに到着。駐車場はすでに満杯に近く、ふれあい広場は活気に溢れている。さすがに市内の一等地に駐屯しているだけあります。
隊員の方々も気合いが入ってます。
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こんな風に写真係の方がいたり、それぞれの展示品のそばの隊員さんは「説明係」の札をつけています。フレンドリーさはそこらのアミューズメント施設よりレベルが高い。
旭川駐屯地は第2師団の根拠地。第2師団は”総合近代化師団”として、FADSやDADSといった部隊間の情報・認識共有システムの実験部隊となっています。なので戦闘車両よりむしろコイツが主役でしょう。
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師団指揮システムの指令所。中には入れましたが撮影は禁止。しかし、中はガランとして3面のプロジェクターがあるのみ。なぜ車載の指揮所を90°回転させなきゃなんないのかはナゾ。
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システムはこういう風に構成されるそうです。
そんでもって陸自のクーラーボックスなど見た後、
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観閲式および訓練展示会場へ。同じ北部方面隊でも、師団が変われば観閲式も変わるもので
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小型トラックではなく82式指揮通信車で観閲。
次に観閲行進。第2師団は”総合近代化師団”のはずですが、
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どっこい、旧小型トラックもしっかり生き残ってます。
そして最後は訓練展示。偵察→→援護射撃→交戦→制圧の順序は変わりませんが、場所が狭いせいか、各個の状況を分けて実施。この方がかえってシロウトさんは分かりやすいかもね。
まず、HU-1からリペリングして偵察隊員を送り込む。
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本隊が突入する前に、対空部隊が敵ヘリを露払い。
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そして自走榴弾砲による援護射撃。
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旭川駐屯地、となりは野球場があったりするんですが、バンバン空砲鳴らします。市民の理解あってこそですね。
そして74式戦車が突入。
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投光器装備した74式って、なんか久しぶりに見たような気がするなあ。
そして最後は歩兵で敵陣地制圧。
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千歳や恵庭の駐屯地と違って、車両や人への距離が近いので、また違った迫力。

この後にヘリの試乗などあったのですが、自分はこれにて帰宅。旭川駐屯地記念行事はヘリ部隊から普通科まで諸兵科連合(コンバインド・アーミー)をすべて網羅した上、フレンドリーなお得な感じのするお祭り。有意義な休日でした。

2008.06.07

F-4N Day3rd

昨日、協賛の関係で北大祭に行ってきた。もー誰も彼もが爽やかに見えます。メタボなスーツ姿のなんと不健康に見えることよ。

そんなこととは関係なく、ファントムは全体塗装。塗装は迷ったのですが、今回はJollyRogersでいきます。
手順としては、まずエビのシッポから吹きます。ブラックでシッポの下地を吹いた後、クリアーオレンジとブライトシルバーを加えたオリジナル焼鉄色、マスキングしてシルバー。これでシッポは終了。
次にメインのC316ホワイトとC315グレー。脚収納庫とコクピットの中身にティッシュを詰めて簡易マスキング。コクピット付近とパネルラインにフラットブラックを吹きます。その後ホワイトを吹いてマスキング。グレーを吹いて取りあえず終了。
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マスキングはほぼ直線だけなのでフツーに塗ってれば問題ないハズなんですが、例によって吹きこぼしがあったりしてリカバリーしながら1日作業でした。
最後にデカールのシルバリング対策にクリアーを吹いて、クレオスの液体コンパウンド細目で磨いてます。
それと、今回は少し芸風を変えて、自分としてはパネルラインのシャドーを残し気味に吹いたのですが、写真に撮るとたいして違わないっすね(泣)。

2008.06.06

ここ最近のお買い物 080606

08年のSHS後のお買い物。
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なんか、ダメな買い物の仕方してるなー、オレ。プランはあるんすよ、ちゃんと。F-16はTWOBOBSのデカール使って、ポーランドやチリ空軍機にしたい。トラぺは供給が不安定だし、万が一キャノピー割ったりしたときの保険用とか。でもなー、なんか自省してしまう買い方だ。
今度からせめて、某店で入荷のタイミングを狙って来店し、陳列する前に速攻で2個を引き取るとかじゃなくて、複数のお店で買い物することにしよう。どうせ暇なんだから。

2008.06.03

書評<メシアの処方箋>

地球温暖化により氷河が溶け出したチベットの高地で、土砂災害をきっかけに”ノアの方舟らしきもの”が発見される。その中から出てきたものは、ハスの花模様が描かれた木簡だった。木簡に書かれた模様がDNAマップであることを突き止めた主人公は、”知りたい”という衝動に突き動かされるまま、ネットで知り合った専門家たちとともに、ホモサピエンスのDNA情報を改変した”救世主(メシア)”を生み出そうとする。

最初は方舟からもたらされた情報を解読するミステリー、中盤は主人公たちが生命倫理と葛藤しながらも救世主を生むべく突っ走る工程を描き、最後はアクションと人間にとっての癒しや救いの意味を問う。いろんな要素を詰め込んだSFだ。ネタバレになってしまうが、救世主といっても、壮大なものが出てくるわけでもない。人間と関係性が持てる存在であり、それがもたらす救いや導かれる理想も我々が普段感じられるものだ。あくまで等身大の人間が中心にいる、まさに著者独特の”青春SF”である。
今回の物語の周辺情報である遺伝子に関する専門用語も、事実として感じられるくらいにリアルに、それでいて物語の邪魔にはならないように簡略化しながら使っていくそのバランスは秀逸だ。


初版2007/05 角川春樹事務所/ハルキ文庫

2008.06.02

書評<天体の回転について>

自分が他の書評を読んで買った本の中で、一番あてが外れるのがSFだと思う。作品として良い悪いじゃなくて、好みの作品かどうか判断するのが難しい。これはSFというジャンルが、舞台設定やプロットがSFであるだけで、物語そのものは普通の小説とあまり変わらないからだ。
そのSFにおいて、過去から作品含めて一番SFらしいのが短編集なんだと思う。本書もそうだ。科学を悪魔と見なす”人間以外の何者か”から見た軌道エレベーター。昆虫の習性を人間に当てはめたら、どんな社会ができ、どんな事件が起こるか?などなど、着想そのものを文章にして、その意外性を読者に提供する。
その発想はすごいし、世間の評価も高いが、個人的には好きではないパターンだ。自分の場合、SFはあくまで舞台設定で、その向こうにあるドラマを読んでいるからだと思う。発想の斬新さや科学への皮肉はさほど必要ない。SF作品を選ぶのって、ホントに難しい。

初版2008/03 早川書房/ソフトカバー

2008.06.01

書評<これが潜水艦だ―海上自衛隊の最強兵器の本質と現実>


海自の潜水艦艦長まで勤めた著者が、潜水艦の運用についてまとめたもの。海自の潜水艦部隊について、その日常勤務からソナーで探知した目標の位置確定の方法まで、その潜水艦運用の実際を防秘事項以外はあますことなく綴っている。潜水艦運用について、海自の通常型潜水艦に限れば最良のテキストといえるだろう。
そして、その文章から強烈に感じるのはサブマリナーのプライドだ。訓練の際の対抗部隊である海自の航空部隊や水上艦を皮肉交じりにクサし、「水上艦には絶対発見されない」と言い切る。その誇りは戦闘能力だけでなく、いわゆる糧食まで及ぶ。
本書を読み終わると、「防衛大綱見直して、潜水艦保有数もっと増やせばいいのに」と思うこと確実である。

初版2008/08 光人社/光人社NF文庫

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