書評<天体の回転について>
自分が他の書評を読んで買った本の中で、一番あてが外れるのがSFだと思う。作品として良い悪いじゃなくて、好みの作品かどうか判断するのが難しい。これはSFというジャンルが、舞台設定やプロットがSFであるだけで、物語そのものは普通の小説とあまり変わらないからだ。
そのSFにおいて、過去から作品含めて一番SFらしいのが短編集なんだと思う。本書もそうだ。科学を悪魔と見なす”人間以外の何者か”から見た軌道エレベーター。昆虫の習性を人間に当てはめたら、どんな社会ができ、どんな事件が起こるか?などなど、着想そのものを文章にして、その意外性を読者に提供する。
その発想はすごいし、世間の評価も高いが、個人的には好きではないパターンだ。自分の場合、SFはあくまで舞台設定で、その向こうにあるドラマを読んでいるからだと思う。発想の斬新さや科学への皮肉はさほど必要ない。SF作品を選ぶのって、ホントに難しい。
初版2008/03 早川書房/ソフトカバー
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