書評<夏への扉>
恋人に裏切られ、仕事も奪われた主人公。今や護民官のピート(牡猫)しか信じれるものはなく、ヤケになって冷凍睡眠保険会社に赴く。
SF古典を読み直してみよう、と何年かに一度起こるマイブームに依って購読。原著は1957年なので、主人公が冷凍睡眠によって訪れる未来ですら2000年で、現実はすでにそこも越えている。だが、そんなことには関係なく楽しい作品だ。一度は堕ちていってしまった主人公が、未来で気を取り直し、またまた時間旅行をして最終的にハッピーエンド。そのプロットは基本中の基本だ。時間旅行ものはどうしてもタイムパラドックスが気になる自分としては、その方が安心してメインストーリーに集中できるというもの。
そして、やっぱり「夏への扉」といえば猫のピートですよ。ジンジャーエールにこだわり、主人公の危機に勇猛果敢に飛びかかる。基本線、ピートすなわち猫の扱いを心得る人は主人公の味方なのだ。猫好きに悪い人はいない、を地で行く巨匠の名作だ。
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