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書評<絶対帰還>


2003年2月1日、スペースシャトル・コロンビアは帰還の一歩手前で燃え尽きた。乗員7名の命が奪われた痛ましい事故だったが、同時にそれはISS(国際宇宙ステーション)に滞在する乗組員たちの帰還の手段が失われたということでもあった。長期滞在する乗組員たちはそのとき、いかなる状況にあったのか?

本書は、コロンビアの墜落により予定外の宇宙長期滞在をすることになったエクスペデション(長期滞在ミッション)6のメンバーである3人のアストロノーツたちの姿を描いたノンフィクションである。極端な閉所空間での長期滞在が人間の心身にいかなる影響を与えるかを掘り下げていくために、著者は2つのストーリーを展開させていく。1つはこれまでのアメリカとロシア(旧ソ連)の長期滞在の歴史を辿り、そのエピソードを披露すること。このことにより、いかに宇宙での長期滞在が重力下で暮らす人間に負担をかけるかを探っていく。2つめは3人のアストロノーツと、そのうちの一人、ドン・ペティットの妻であるミッキーの人物像を掘り下げ、彼らがNASAと宇宙に関わることにより、いかに変わっていくかを描いている。

3人は最終的にロシアの宇宙船ソユーズで帰還する。そのミッションは最後まで波乱万丈であった。それゆえ、最後まで読者の我々は退屈することなく本書を読み進むことができるが、もっと安全が担保されなければ、ISSの開発は滞る。ちょっとした矛盾を感じる1冊であった。

初版2008/07 光文社/ハードカバー

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Comments

宇宙開発関係も興味あります。

2006年夏に、NHK四夜連続放送で「宇宙・冷戦と二人の天才」というドキュメンタリー映画がありましたが、大変面白かったですね。
DVDもぜひ手に入れたいものです。

Posted by: きよかず | 2008.08.16 at 19:29

>きよかずさん
「宇宙・冷戦と二人の天才」の市販DVDは字幕なしで日本語モノラルのみという、放送時よりヒドイものなので、購入される際は気をつけてくださいね。

Posted by: ウイングバック | 2008.08.17 at 20:58

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