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書評<トンデモ偽史の世界>


歴史は改竄されるものである。それは戦争の勝者により、独裁者により、あるいは個人の思想信条によって。本書は、ちまたに溢れる偽の歴史を集め、それがどのような意図を持って形成され、いかに間違っているかを解説する。一目で”トンデモ”と分かるものから、まことしやかにささやかれる”真実”の振りをしたもの、国家による歴史改竄から個人の”犯罪”であるものまで、そのすそ野は広い。

本書で面白いのは、「あの常識は間違っていた」みたいなトリビア的なものよりも、偽史が形成される過程や、偽史を作り出す人々の人物像の解説の方だと思う。国家や個人が偽史を作り上げるのは、自分たちの行動を正当化するためであり、自分たちの権威を高めるためである。学会の常識を乱すくらいならかわいいものだが、往々にしてその向かう先は危険だ。ナチスしかり、オウム真理教しかり。それは陰謀論を信じ込むことにも似ている。”歴史は改竄されるもの”であるが、それでもなお真実を見つけだし、冷静な目でみることがいかに大切であるかを本書は教えてくれる。

というわけで、「トンデモ」シリーズに名を連ねるにはもったいないくらいの本である。しかし、「トンデモ」がついていないと売れないんだろうな。オレだって「トンデモ」がついてたから本棚から手に取ったんだし。タイトル命名は難しい。


初版2008/09 楽工社/ソフトカバー

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Comments

私もこの本読みました。
おっしゃるとおり、この本の主眼は、
トンデモない偽史を笑い飛ばすことよりも、
なぜその偽史は生まれたか、
そしてどのような力を持つに到ったか、
の方にありますね。
実はうちの掲示板の常連さんの一人が、
この本の著者のマイミクのマイミクなんだそうで…
今度サインもらおうっと。

Posted by: みに・ミー | 2008.09.09 at 22:53

>みに・ミーさん
私は以前、とある本の書評をこのブログで書いたときに、著者本人からコメントをもらったことがあります。
スゲーうれしかったです(笑)

Posted by: ウイングバック | 2008.09.11 at 17:34

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