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書評<アフリカ・レポート>


「カラニシコフ」で”貧者の戦争”をレポートした著者が、アフリカの現状をレポートしたもの。いずれも初出は新聞や雑誌の特集だが、ジンバブエと南アメリカを中心にアフリカの現状をよく伝えている。

ジンバブエは「160000%のインフレ」として日本のネットでも話題になった。独立前は豊かな農業国だったジンバブエが独裁者の悪政で、あっという間に失敗国家へ。
もともと地下資源豊かな南アフリカはアパルトヘイトを打倒し、理想の国家を目指すはずが、犯罪率は上がっていくばかり。

独立当初から内戦を繰り返してきた国家だけでなく、少なくとも貧困とは無縁のはずだった国さえも、今や総崩れの模様を呈している。いずれも政治指導者の腐敗が原因だ。国家とは関係なく、親族や部族を優先する指導者たちが、国家を食い物にしていく。そうして不安定になったアフリカの国々に、フランスや中国が入り込み、国民に豊かさをもたらすはずの資源を根こそぎ奪っていく。

過酷な植民地支配の後、宗主国が部族とは関係なく、自分たちの都合で引いた国境線。東西冷戦のさなかの代理戦争のおかげで、大陸に溢れる小火器。アフリカの貧困を欧米諸国に求めるのは簡単だ。だが、それでは一歩も前に進まない。政治指導者たちの腐敗は彼ら自身の責任だ。
もはや政府の名乗るのもおこがましい政治家や役人たちにまかせてはおけないとのことで、本書の最後には民間の地道な援助やアフリカに進出した日本の経営者たちの姿がレポートされている。ただ、そうしたわずかな成功例を希望の光にするしかないのが、アフリカの現状だ。

豊かな地下資源を求めて、日本もアフリカへのコミットメントを強めるべきだ、という意見の方もいるだろう。だが、正しいか正しくないかはべつとして、中国のごとく末端の工場労働者にいたるまで”輸出する”ことが日本にできるか?フランスのごとく、えげつない外交をお人よしの日本にできるか?本書を読むと、そう考えざるをえない。

初版2008/08 岩波書店/岩波新書

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