宇宙海兵隊ギガーズ
宇宙海兵隊ギガース 2 (2) (講談社文庫 こ 25-17)
宇宙海兵隊ギガース 3 (3) (講談社文庫 こ 25-18)
人類が木星圏まで進出した近未来。核融合の技術力と、厳しい環境の中で生まれた宗教を背景に、木星圏は地球圏からの独立を要求。地球圏はこれを拒否し、独立戦争が生起することとなる。
海兵隊に所属するエドワーズは、ヒュームスと呼ばれる人型兵器を操り、木星圏の新兵器と戦う。
リアルな宇宙空間戦闘とは、まず敵よりも軌道要素と戦わねばならず、まして惑星間ともなると、交戦は軌道が交差する一瞬だけである。こうした物理を無視しない戦闘シーンと、戦争の原因を探るミステリーを組み合わせた、バランスが取れたSFだ。一応、統合政府が成立しているものの、従来の組織の悪癖を引きずる地球側と、様々な事が革新的な木星側の対比や、唯一の超常要素である"サイバーテレパス"の存在など、設定も練られている。不満点は、登場人物にイマイチ個性が欠けることか。
"ガンダムタイプ"の物語に、宇宙の厳しさを加えたらこうなる、と言うと、著者に怒られると思うが、それだけスタンダードで、安心して読める物語である。
初版2008/07 講談社/講談社文庫
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