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書評<反米主義>


訳知り顔のニュース番組のコメンテーターが世界情勢を語るとき、いつも言われることの1つが「アメリカの力は落ちている」である。だが、相も変わらずアメリカは経済・政治ともに世界の主役だ。それゆえに世界はアメリカに対し愛憎を交錯させる。その”憎”が反米主義である。
本書ではまず、反米主義の定義を明確化する。”反日感情”はあっても、”反日主義”はない。それはアメリカの国策に普遍的な”正論”が必ず存在しているからである。自由と平等の尊厳は誰も反対できない。”グローバリズム”だって、「あなたの買っている製品は不当に高い」と甘い声で我々にせまってくる。欧州諸国では伝統を、中東諸国においては宗教を突き崩すように、”アメリカニズム”は土足で他国へ侵入していく。しかしながら、それによって多くの国で内部が混乱させられ、また多くの場面で”アメリカのダブルスタンダード”が噴出する。そのことがアメリカへの反感を招く。
後半は日本における反米主義の研究である。いわゆる左翼の人たちが反米主義なのはまあ当たり前だが、保守の人たちにも、主に人種差別に根ざした反米感情が存在する、と本書は定義する。だが、戦中派はともかくとして若い人に人種差別が存在するのかな?とは個人的に思う。日本の場合は、いわゆる知識人の反米主義と大衆に染み込んだ資本主義がかい離しているのが現状であろう。
本書はこの2本の柱で構成されるが、著者はおそらく親米派のため、感情的にならずに、また陰謀論的にならずに反米主義が説明されているのではないかと思う。その意味では、フラットに反米主義を説明できているのではないだろうか。

アメリカが介入する武力行為について語るとき、その原因を石油をはじめとする”利権”で説明されることが多い。だが、むしろアメリカが掲げる”理念”の方が開戦を決定する大統領に大きく影響しているのではないかと思う。”アメリカの理念”と世界各国の”理念”が一致しないこと、世界唯一の正義でないことを多少なりともアメリカ国民が理解しない限り、反米主義はなくならないだろう。

初版2008/08 講談社/講談社現代新書

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