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誰が太平洋戦争を始めたのか

世には”司馬史観”なるものが存在するらしいが(スミマセン、読んでません)。著作や主催サイトと合わせて、”別宮史観”とでも言うべき視点から、太平洋戦争の発端がいかなるものであったかを解き明かす1冊。当時の軍人や政治家、外交官の発言などを細かく追い、真珠湾攻撃に至るまでの過程を探っていく。まず箇条書きで印象に残ったことを記す。


①大正以後、基本的に欧州諸国の定めたルールである「外交」なるものを、日本人は外交官含めてまったく理解していなかったということ。慣習的な国際法、条約を含めて、その理解不足が開戦へと導いている。ハル・ノートは”最後通牒”でもないし、真珠湾攻撃は”自衛的行動”ではまったくない。
②官僚的なセクショナリズムが状況を悪くしていく。例えば日独伊三国同盟の狙いを、内閣・外務省・陸軍・海軍などそれぞれが自分たちのセクションに有利なよう、バラバラの捉え方をすることにより、結果的に進路がブレていく。
③テクノロジーが作戦計画を決定づける。海軍の航空魚雷が浅い停泊地での水雷攻撃を可能にしなければ、そもそも真珠湾攻撃は成立しなかった。


本書を読み進めると、上記のようなことを中心に何度も「これが開戦の原因か」と早合点し、そしてそれが否定される、という過程が繰り返される。つまり、基本的に太平洋戦争は”誰かが”が起こした戦争ではない。それではなぜ”先制攻撃による開戦”だったのか。本書の最後に答えがズバリ明かされている。個人的には非常にスッと結論が受け入れられた。もちろん、受け取り方が違う人もいると思う。だが、太平洋戦争の開戦の要因のいくつかは今だ現体制まで引きずっていることを否定はできないだろう。

初版2008/08 筑摩書房/文庫

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