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2008.11.19

書評<軍事学入門>


人間が物事を見るときには必ず主観が入る。なので”客観的真実”など存在しないというのが自分の意見だ。これは歴史も同じ。何らかの”事実”があったとしても、その背景や前後の出来事などで、その捉え方、いわゆる”歴史観”は千差万別。
そんな中で、今現在のところで個人的に一番しっくりくる歴史観を提供してくれるのが本書の著者の別宮氏だ。別宮氏の歴史観の根底にあるのは「国際条約」と「官僚機構」である。「国際条約」を加盟国が守っている限りは、理論的には戦争は起きない。それを何らかの屁理屈をつけて起こすのがときの国家と指導者である。国家を運営する巨大な「官僚機構」は、各個の組織存続のために動き、いったん動き出すと止めるのは至難の業。なので国全体のことは見えていないし、「戦争計画」がいったん動き出すと開戦に向かってまっしぐらである。
このことを踏まえると、戦争がいかに始まり、そして終わらせるか?技術、民族などがいかに戦争に影響を与えるか?いわゆる”軍事学”に関することが明確になる。本書はその入門編であり、短い文章で様々な戦争の側面について説明している。

昨今、現役空幕長が政府見解と異なる論文を懸賞応募したことで解任された。彼の書いた文書は陰謀史観への傾倒・事実の利己的解釈・単純な事実誤認と「政府見解と異なる」以前の問題であった。歴史を語るときにいかなる価値観を根底に据えるのか?それくらいははっきりさせておかないと「思想・信条の自由」以前の問題である。

初版2007/06  筑摩書房/ちくま文庫

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いい書評だと思います。ぜひAmazonのレビューにも転載しては如何でしょうか。

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