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2008.11.26

<となりの車線はなぜスイスイ進むのか?>


「交通」は科学である。専門家は安全確保や渋滞の解消といった問題を解決するため、様々な解析を試みる。
だが、「交通」の難しいところは、そこに「人間の不確実さ」が加わることである。そもそもが、”車の運転”というのは瞬時に様々な判断と操作が求められる、いまだ人間しかできない行為の1つだ。それゆえ、人間の感情の不安定さが反映される。
それは何も表題のような「工事車線による車線減少があったときのドライバーの感情と行動」だけではなく、無意識化の行動や、国土の発展具合によるモラルの違いなど、そのパターンは数限りない。本書はそういった交通の科学を様々な面から分析したものである。主な”想定場面”はアメリカであるが、ドライバーの感情はいずこも同じなので、日本の我々も実感を持って読むことができる。

本書の中に、事故やそれに至りそうな場面を記録する車載カメラを積んだ自動車の調査例が出てくる。サンプルとなったドライバーがその実験の主催者に「先生、このカメラを出し抜く方法を見つけたよ。周囲の状況に常に気を配って、注意深く操作するんだ」と言ったそうである。アメリカンジョークではない。結局のところ、それ以外の方法はないんだろうな。

初版2008/10 早川書房/ソフトカバー

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