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2008.11.25

書評<「海洋国家」日本の戦後史>


タイトルにはちょっと偽りありで、何の工夫もなしにいうなら「戦後のインドネシアと日本の関係」というところだろうか。太平洋戦争後、日本の侵略と撤退を契機とした東南アジアの国々の独立へ動きと、それに呼応した日本の外交を、インドネシアとの関係を軸に追っていくものである。

東南アジア地域は”南進”した日本の撤退後、独立の気運が高まったが、民衆の望みとは関係なく宗主国は”帰還”を果たした。しかしながら、かつての植民地に高まった”独立への熱”は醒めることなく、それを押しとどめるのは難しい状況になっていた。それは当事者どうしだけの問題ではない。独立を許すにせよ、東南アジア地域のプレゼンスを失いたくない宗主国、共産主義のドミノ倒しを恐れるアメリカ、ソ連との対立の中で影響力を強めようとする中国と、地域のプレーヤーたちはそれぞれの思惑を持ってうごめく。そして日本。回復した経済力をもとに、そのゲームに参戦することになる。

第2次世界大戦後の独立を巡っては、それぞれの地域・国の数だけ、様々なドラマがあったのだろう。本書はその”インドネシア編”ともいえる。上記の複雑な状況の中、イデオロギーを棚上げにして国内開発を優先するという
”非政治化という政治手法”をもって、かの地に再び”南進”した日本。アメリカという圧倒的な力の影響を受けながらも、それなりに独自外交を進めていたことが分かる。
イデオロギーが熱い時代の歴史の面白さが味わえる著作である。

初版2008/06 筑摩書房/ちくま新書

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