書評<サッカーとイタリア人>
いうまでもなく、イタリアはカルチョの国である。また、都市国家の集合体というイタリアという国の成り立ちから、サポーター同士の”戦い”も熱い国である。本書はイタリアの各都市のクラブチームの歴史を辿りながら、イタリアのサッカー事情を解説する。
大ざっぱなタイトルで内容がむしろ分かりにくいが、イタリアにおけるダービー・マッチの魅力を解説した本といっていいと思う。ヨーロッパは各都市の対抗心が強いため、日本と比べてホーム&アウェイの有利・不利が現れるが、イタリアの場合はむしろ、同じ都市にあるチームが対決するダービーマッチの方にカルチョの歴史が反映されている。長い歴史の中で、常にトップ・リーグで敵同士のチーム。都市に君臨する古豪を打ち倒した新興チーム。外国人が影響を色濃く落としたチームなどなど。長い歴史と民族性ゆえ、数多くのドラマが積み重なり、ダービー・マッチが開催される。
というわけで、本の内容は悪くないのだが、前記したように、もうちょっとタイトルのつけ方に工夫が欲しい。”サッカーとイタリア人”というなら、むしろ昨今の審判買収事件など、カルチョの闇の部分を明らかにする方が、読者の興味をひくと思うのだが。
初版2008/12 光文社/光文社新書
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