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書評<宇宙創成>

宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)

現在、我々は地球が太陽の軌道を周回し、太陽は天の川銀河の辺境に位置し、天の川銀河を含めた宇宙がビッグバンによって生まれたことを常識としている。だが、この科学的見地にたどり着くのに、多くの時間が費やされた。物理理論をうちたて、それを観測によって検証する。天球が運動していることに人類が気づいて以降、その繰り返しによって今日、前述した理論に行きついた。本書はコペルニクスの時代に遡り、ビッグバン理論にたどり着いた宇宙論の歴史を辿る。

天文学の基本は軌道計算だ。それは物理学であり、幾何学である。そして”天球の回転(byコペルニクス)”から恒星の成り立ちまで、広く宇宙を理解しようとすると、多分野の物理学の知識が必要となる。本書は宇宙の謎を解こうとした物理学者の”戦い”を中心に記述し、数式を最低限に抑え、たとえ話を多用することによって宇宙論を解説していく。なので数学な苦手な自分でも、物理学を多少なりとも理解しながら、過去どのように研究が進んできたかを知ることができる。「E=mc²」を多少なりとも理解した気になったのはこの本がはじめてです、ハイ。
もう一つ本書で特筆すべきなのが、個性あふれる物理学者たちのエピソードである。気難し屋、目立ちたがり屋、求道者・・・見下していた化学者に妻を寝取られ「闘牛士ならともかく、化学者とは・・・」とつぶやいた学者、自分の屋敷のメイドたちを観測記録の分析係に転職させた学者(しかも彼女たちは優秀な天文学者となる)などなど。
理論と人間くさいエピソードが交錯する、魅力的なビッグバン宇宙論の歴史書だ。

初版2008/01 新潮社/新潮文庫

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