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書評<機械仕掛けの神>


翼を回転させることによって揚力を得るヘリコプターの着想は古い。だが信頼できるエンジン、回転翼のトルクの打ち消しの方法など、種々の問題がその実現を妨げてきた。実用として使うことができるヘリコプターがようやく開発されたのは第2次大戦前夜のこと。乗客1人をやっと運ぶことができるヘリコプターが、やがてタービンエンジンを得て大型化し、ベトナム戦争を転機に軍民ともに不可欠なものとなる歴史を、アメリカを中心に本書は紹介していく。

ヘリボーンをはじめとして、ヘリコプターは今や軍隊に欠かせないビーグルであり、需要ももちろんそちらの方が圧倒的である。本書にもベトナム戦争の活躍を中心に詳述されているし、ベトナム戦争でヘリパイロットが大量に要請されることがなければ、いかに広いアメリカといえど、ヘリコプターはなかなか普及しなかっただろうことは容易に想像できる。
それでも、本書で面白いのはむしろ民間でのヘリコプター開発と普及への努力であろう。実用ヘリコプターの”父”の一人、シコルスキーはアメリカで同じロシア難民の援助を得ながら、ヘリの開発を続けた。第2次大戦後、そのシコルスキーをはじめとして、数々の技術者とメーカーがヘリを自動車の次の”夢の乗り物”として普及をはかろうとしたが、騒音や高い運行コスト、そして事故により彼らが夢想するような時代は訪れることはなかった。だが、名パイロットによる救難活動などにより、現在ではヘリは官公庁などで必要不可欠なビーグルになった。技術者はメカと戦い、パイロットは空気と戦う物語。本書は技術開発史というよりは、一種の冒険の書であろう。

初版2009/01 早川書房/ハードカバー

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