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書評<クルマはかくして作られる3>

クルマは膨大な技術の蓄積が必要とされる”総合工業製品”である。中国あたりではリバースエンジニアリングあるいはCAD/CAMを使って、少なくとも見た目は”フツーのクルマ”が生産しているが、耐久性や安全性その他含めた総合性能ではとても日本や欧米のトップメーカーには追いつけるものではないだろう。
その日本の自動車メーカーを支えているのが数々の部品メーカーである。本書はその部品メーカーを訪ね、その製品をつぶさに解説するシリーズの第3弾。まずはねじという基本的な部品に立ち返り、また後半は日産GT-R(R35)に関わるコンポーネントを軸に、クルマがいかに構成されているかを紹介している。

昨今の金融危機のダメージをまともに受けているのが自動車メーカーだが、そのダメージは部品メーカーの方がより深そうである。系列化の垣根を乗り越えて世界進出を果たしているがゆえ、日本メーカーの自動車減産のニュースだけでは推し量れない受注減がありそうだ。だが、この本を読むとその技術力の高さに勇気づけられる思いがする。

個人的には、樹脂ファスナーメーカーの”クルマ以外の商品”の紹介に自分の勤めている会社の商品が映っていたのでちょっと嬉しかった。自分の営業車のいろんなところに使われている樹脂ファスナーと、売ってる商品のキャップのメーカーが同じってのは、なんか不思議な気分だ(笑)。

初版2009/03 二玄社/大型本

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書評<暴走するセキュリティ>

統計上は日本の犯罪は減り続けている。”今日的な犯罪”とされる少年犯罪や猟奇的な犯罪は、実は過去から繰り返しおきている。ではなぜ、「昨今の日本は治安が悪化している」と多くの人が感じるのか?社会の変貌や、それにともなう犯罪に対する人々の考え方の変化を通して、”体感治安の悪化”とは何を意味するかを提示する。また、治安の周辺に常に存在する精神鑑定を巡る問題や、日本の刑法が定める刑罰と社会が求める刑罰になぜ矛盾が出るのかといった問題についても検証していく。

精神鑑定や刑法を巡る問題は個人の価値観がもっとも反映される事柄なのであくまで個人感想。
著者が指摘する”暴走している”ことの1つが、厳罰化だ。これについては、自衛隊を巡る問題と一緒で”戦後民主主義”に対する反動だと思う。犯罪被害者が声を上げ始めたことで、人権という名の下で過剰に犯罪者が守られているのではないかということに人々が気づき始めた。”人権派”を自認する世間知らずの弁護士の法廷戦術が、火に油を注いでいる。
刑法が大きく変わったわけでないのに”厳罰化”するのは、日本の刑法が「罪刑法定主義」ではないからだ。日本の法律は意外とグレーゾーンが大きく、刑法も細かく刑罰が決まっているわけではない。犯罪ではなく、犯人で判断するという現在の刑法が、話をさらにややこしくしているのだ。これは精神鑑定に絡む問題で、個人的には犯罪被害者の事を考えると、罪刑法定主義への転換に大きく舵を切っていいと思う。

その他、日本の治安と犯罪について考えるのにはいいキッカケになる1冊である。

初版2009/03 洋泉社/新書Y

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F-16E Day4th

この3連休にチョコチョコといじってF-16Eはサーフェサー吹きまで。
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白ムクの段階で目立つキズ、アイリスのノズルとの段差をサンディングしてサーフェサー吹き。気泡を瞬着で埋めてサンディングしてサーフェサー吹き。機首のアンテナをファインモールドの金属製部品、レドーム横のアンテナを0.3mmの真鍮線で形成してサーフェサー吹き。
文字に起こすと作業手順はこんな感じだけど、サーフェサー吹くたびに傷を見つけてヤスって、確認したはずの気泡を見つけてヤスってと、何度もサンディングとサーフェサーの繰り返し。さらにサンディングで柔らかいサーフェサー面を傷つけるので、悪循環なのね。仕上げまではグレーを吹いて傷探しをしながら作業をすればよかったと気づくのは、だいたい妥協できるレベルまで来た後。レジンも数こなさなきゃ、作業手順が身につかないのね。
何事も経験だなあ、とつくづく思う今日この頃。

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サイレント・イーグル、キタ!

ボーイング社はF-15Eイーグルの新しい輸出向けバージョンとして、F-15SE SilentEagleを発表しました。インターナショナル・カスタマー向けとされていますが、実質ステルス能力を求める空自F-X向けでしょう。
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ミリオタのみなさん、魔改造イーグルがきましたよ!CFTにウェポンベイを新設、各種AAMの他、JDAM(GPS誘導爆弾)やSDB(小直径爆弾)を搭載できるとのこと。そして垂直尾翼を傾斜させて空力特性を改善、機体構造重量も軽減されている模様。もちろん、ステルス対策の意味もありそうですね。そしてこの垂直尾翼、「機動警察パトレイバーtheMovie2」に出てきた空自のイーグルのそれにそっくりなんですよ!押井守信者としては、うれしい限りです。こいつがF-Xに採用。さらに既存の三菱F-2が魔改造され
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F-2スーパー改になったとしたら・・・もうね、これほどある意味で”萌える空軍”もない(笑)。
まあ、実現は望み薄だろうなあ。

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海自護衛艦<ひゅうが>就役

海上自衛隊の新型ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」の引き渡し式が18日、横浜市磯子区のアイ・エイチ・アイマリンユナイテッド横浜工場で開かれた。

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ニュース自体はめでたいことなんですが・・・以下、毎日新聞の同記事より抜粋。
「船首から船尾まで長く伸びた長い甲板を持つ「空母型」の形状が特徴」
いやいや、これぐらいで空母なんて言ってたら、中国様にバカにされちゃうぜ。ただの便利な全通甲板ですよ。

「周囲360°からのミサイル攻撃などに対応可能な国産の対空武器「FCS-3」も初めて装備した」
いやいや、FCS-3は多目的レーダーで、武器ではありませんよ。

相変わらず、正確な報道なことで。

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書評<エコ・テロリズム>

日本では”反捕鯨”活動で知られる、シー・シェパードなどの過激な環境保護団体。彼らは我々が考えるより過激で、実験動物を扱う企業の役員を襲撃し、施設を放火して実験動物たちを”解放”する。”地球環境を守る”というお題目のもとに実行されるテロは、「エコ・テロリズム」と称されてFBIなど当局も警戒する。彼らはどのような思想的背景から生まれ、どのように分派してきたのか?それに対するカウンター的な集団も存在も含めて、知られることの少ないエコ・テロリストたちを解説する。

著者は哲学方面の方であり、本書も”エコ・テロリズムと社会の関係”というよりは”エコ・テロリズム”の思想的な面を探索していく。昨今は世界中どこもかしこも”地球環境保護”や”エコ”が絶対正義のお題目として掲げられるが、エコ・テロリストたちのような過激な行動をとるのはアメリカの白人周辺に限定される。これは”市民的不服従”や”キリスト教的終末論”が彼らの思想に根ざしているからだ。例えば「アメリカという国がそもそもイギリスの”理不尽な法”を暴力で乗り越えたきたのだから、現在の理不尽な連邦法も乗り越えるべきである。」というような、アメリカならではの思考法あるいは哲学が彼らの根本にある。そして環境保護活動が大衆運動化していく過程で分派し、一部が先鋭になっていくという、リベラル的な社会運動にありがちなパターンを踏んでいる。

日本にもエコ・テロリストたちの協力者がいるようだが、宗教や日本人的な曖昧な思考を超えて、本書にあるようなそのアメリカ的な哲学を理解しているのだろうか?科学の恩恵を信じて生きている我々一般人よりは、彼らに読んで欲しい、哲学解説の書である。

初版2009/03  洋泉社/新書Y

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書評<アメリカは今日もステロイドを打つ>

アメリカ在住のコラムニスト、町山智浩氏によるスポーツ関係のコラムをまとめたもの。プロスポーツでの高額所得者はアメリカンドリームの象徴の1つだが、それゆえに学生時代からのステロイドの使用や、親のエゴ溢れる”プロ選手の育成”など、いびつさが目立つようになっているアメリカのスポーツ界の現状を紹介している。

高額な報酬、競技人口の底辺の厚さ(それゆえの競争によるレベルの向上)、観客のプロスポーツや大学スポーツへの思い入れの熱さなど、日本ではアメリカン・スポーツの良い面しかあまり報道されないが、そこにはスキャンダルも数多い。
これにはアメリカン・スポーツならでは特徴もある。ベースボール、アメフト、アイスホッケーはいずれも華麗さよりは屈強さが求められ、データによりはっきりと個人の結果が現れる。筋肉増強剤を求めるゆえんであろう。また教育に対する自由も、”スポーツしか選択肢がない子供のまま、青年になった大人”を生む土壌となる。日本にももちろんスポーツに関するスキャンダルはあるが、これでは”スキャンダルのレベル高さが違う”のは当然であろう。何事に関してもアメリカはリスクのレベルが違いすぎる、とつくづく感じさせるコラム集だ。

初版2009/02 集英社/ソフトカバー

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<イケナイ宇宙学>

現在、科学は攻撃されている。天文学も例外ではない。マスコミ各媒体には必ず星占いが欠かせず、「アポロは月に行かなかった」なんてことを真顔で言う有名人が世に溢れる。アメリカではそういった状況に対し、科学者は反撃を試みている。本書もその1つであり、「なぜ空は青いか?」「なぜ季節はあるのか?」といった子供に必ず聞かれる身近な天文学から、UFOなどオカルトの分野まで、ユーモアを交えて解説している。

”疑似科学に反撃せよ”は個人的に大いに大賛成だし、本書は皮肉も効いていて読んで面白い。問題はタイトルである。自分などはてっきり疑似科学そのものの本から思い、たまにはそっち方面の主張も読んでみるかと手に取ったら、ちゃんとした科学読本であった。新書などにもよく見られるが、テンプレートなタイトルのつけ方はやめてほしいものである。

初版2009/03 楽工社/ソフトカバー

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書評<インテリジェント・デザイン>

例えば生物の眼の精緻な仕組みは、ダーウィンの進化論、あるいは近年の分子生物学を取り入れたネオ・ダーウィニズムを持ってしても、どのように生まれてきたかは説明できそうにない。何らかの”大いなる知性”が、その形成にかかわったに違いない ――――― 聖書をバックボーンとした創造論に代わり、進化論のカウンターとして台頭してきたのがID、インテリジェント・デザイン理論である。本書はアメリカで急速にその地位を高めつつあるID理論を解説していく。

自分はダーウィニズムの信奉者だが、それに対するID理論とは何かを知るために本書を手に取ってみた。
が、サイテーの本であった。専門用語をそれらしく並べてはいるが、ネットから適当に文章を拾ってきて書き飛ばしたに違いない(巻末に”参考ウェブサイト”は掲載されているが、”参考文献”は0だ)。まずもって、進化論以前に生物学の基本がまったく理解できていない。例えば有性生殖。雌雄のDNAの融合は”遺伝子の破壊”ともいえるものであり、自らの子孫を残すならコピーを繰り返す無性生殖の方が有利だと本書にはあるのだが・・・あのねえ、どこからその理論、引っ張ってきた?自分のコピーを作るだけだと、何か環境の変化があれば全滅してしまう。そのために、自分とは少しずつ違う子孫を残すことによって、少しでも子孫が生き残る確率を高めようとして高等生物は有性生殖をする。変化こそが、止まることのない時の流れに対応することなのよ。
その他、様々なところで基本的な知識の錯誤、論理の破綻がみられる。いわゆるトンデモ本の範疇の本であった。というか、本書が「ムー」の別冊とは知らず、比較的マジメな本だと思ってレジに持っていった時点で、オレの負けだな(笑)。

それでも、ID理論そのものが論理破綻しているのが理解できたのは収穫かも。ID理論を唱える学者は、いわゆる創造論との相違を主張するが、説明すればするほど人間を中心に考える創造論との区別がなくなっていく。何より、”デザイナー”が神ではないというのなら、それに代わるデザイナーとは何者かを提示する義務があると思うのだが、そこからはしっかり逃げている。

それでもID理論に興味ある方は本書ではなく<反・進化論講座―空飛ぶスパゲッティ・モンスターの福音書>をお薦め。ID理論がギャグにしかならないことを証明しています。

初版2009/03 学習研究社/ハードカバー


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F-16E Day2nd

日本ではあまり報じられていませんが、北アイルランドはベルファストでイギリス軍兵士が何者かに射殺されました。北アイルランド紛争の再燃があるのか?「パイナップルARMY」でテロリズムを学んだ世代としては、ちょっと気になるところです。
そんなこととは関係なく、F-16Eは搭載兵器の塗装、組み立て。
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2日かけてJDAM、LGB、AMRAAM、LANTIRNポッド、パイソン3をデカール貼りまで。現用機の宿命とはいえ、ウェポンに時間をとられるなあ。JDAMとAMRAAM及びLANTIRNポッドはアカデミーのF-16Cキットの余りから、LGBはハセガワの武器セットから、パイソン3はパラゴンのレジンパーツから持ってきています。昔、BlogModelersのエラい人が「エアブラシとはマスキングと見つけたり」と詠んだけど、ほとんどの塗装作業をエアブラシで行うようになって、ようやく実感。エアブラシ吹くよりマスキングの方が3倍ほど時間かかってます(笑)。
もうしばらく細かい作業を続けます。

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F-16E Day1st

気がついてみればもう3月。そろそろ、SHS持ち込み候補作に取り掛かりましょうかね。お題はコレ。
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LoneStarさんちプロデュースのレジン製の1/72のF-16XLコンバージョンキット。コンバージョンキットとはいうものの、ハセガワのF-16のキットから取って来るパーツはごく少なく、パッケージやデカール含めて考えれば、もはや個人レベルを脱している逸品です。
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これにアイリスのレジン製ノズル、PARAGON製のAAM、SkyDecalのデカールなどを組み合わせて、架空のイスラエル空軍仕様でいきましょう。異形のアップデート・ファルコンを各国が採用しているんだけど、たぶんイスラエルが一番F-16XLが欲しかったと思うんですよ。パーツ的にいうと別名「Hannants通販ポンド安大歓迎仕様」ですな(笑)。
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ハセガワのキットからのパーツ取りは、写真のようにエアインティークや脚回りが中心。F-16XLの開発当時は主翼下にMk.82をいっぱい搭載している姿がデフォルトでしたが、スマート兵器全盛の現代とはちとかけ離れているので、通常のパイロンを流用してLGBやJDAMを搭載させます。よってパイロン穴は黒瞬着で埋めます。
さて、自分のイメージどおりにできあがるか?ゆっくり考えながら工作しましょう。

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F-4EJ Completed

ハセガワ1/72F-4EJ改ファントムⅡ、完成しました。
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東西冷戦の終結後、先進国間の正規戦勃発の可能性が遠のき、兵器の寿命が延びている昨今、F-4ファントムⅡも初飛行から50年を超えて各国で現役にあります。とはいえ、その減勢が止まったわけではなく、空自でも今年度末で第8飛行隊のファントムが引退を迎えます。
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その第8飛行隊から、いわゆる”青ファントム”をチョイス。ハセガワの限定版をピトー管およびシートベルトをファインモールド製の金属部品に交換する以外はストレートで組んでいます。一部の機体に実施された洋上迷彩はC72ネービーブルーにコバルトブルーを添加、C14ネービーブルーにエクストラダークグレーを添加し、ややコントラストを強調して吹き付けています。
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武装はASM-1およびASM-2のPTM弾。ASM-1はターミナル(終末)がアクティブ・レーダー・ホーミング、ASM-2はターミナルがIRホーミング、単純にASM-2がASM-1の後継ではないとのことで、1発ずつ搭載してみましたが、実際にこのような訓練形態があったかどうかは未確認なのであしからず。
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ロングノーズ・ファントムを年始以来、連作しましたが、それぞれの迷彩、搭載兵器、ディテールの違いなどを見比べていると、飽きることがありません。ファントムの魅力の1つですね。
さて、今年もいつの間にか3月、そろそろSHS持ち込み候補作に取り掛かりましょうかね。

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書評<機動警察パトレイバーザ・レイバー・インダストリー>

機動警察パトレイバーの主役メカであるレイバー。マンガ原作のゆうきまさみや劇場版2作の押井守カントクといったストーリー面でのクリエイター、また”ソフト自体を売る”手法のメディアミックスから、正直「主役メカとして絶大な人気を誇った」、というほどの存在ではないと思う。本書はそのレイバーにスポットをあて、メカニズムを掘り下げるとともに、震災などにより”重厚長大”な工業が発展を極めた「ありえた未来の昭和」を検証する。前作「一年戦争全史」に引き続く、「アナザー・センチュリー・クロニクル」第3弾。

正直、最近の学研は商売というか企画がウマい。自分のような”団塊世代ジュニア”のオタク(オタク第二世代っていうんだっけ?)の顕著な特徴として、”歴史好き”がある。もちろん学校の歴史のような”通史”ではなく、ワンテーマを掘り下げ、それについて検証を加え、自分の知識を補完していく作業。点と点を線に結ぶ作業に面白さを見出す傾向は、さほど最近の若い子には見られない。学研はそこをピンポイントで攻撃する(笑)。
実際の歴史についてはミリタリー基礎講座 2 (歴史群像アーカイブ)のシリーズを提供し、架空の歴史に関しては、この「アナザー・センチュリークロニクル」シリーズを提供する。必ず、同世代の企画屋がいるに違いない。
ちなみに自作は押井守監督の「ケルベロス・サーガ」。これも細かい設定(へ理屈ともいうが)がいろいろとあるので(笑)、読み物として期待である。

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