書評<機動警察パトレイバーザ・レイバー・インダストリー>
機動警察パトレイバーの主役メカであるレイバー。マンガ原作のゆうきまさみや劇場版2作の押井守カントクといったストーリー面でのクリエイター、また”ソフト自体を売る”手法のメディアミックスから、正直「主役メカとして絶大な人気を誇った」、というほどの存在ではないと思う。本書はそのレイバーにスポットをあて、メカニズムを掘り下げるとともに、震災などにより”重厚長大”な工業が発展を極めた「ありえた未来の昭和」を検証する。前作「一年戦争全史」に引き続く、「アナザー・センチュリー・クロニクル」第3弾。
正直、最近の学研は商売というか企画がウマい。自分のような”団塊世代ジュニア”のオタク(オタク第二世代っていうんだっけ?)の顕著な特徴として、”歴史好き”がある。もちろん学校の歴史のような”通史”ではなく、ワンテーマを掘り下げ、それについて検証を加え、自分の知識を補完していく作業。点と点を線に結ぶ作業に面白さを見出す傾向は、さほど最近の若い子には見られない。学研はそこをピンポイントで攻撃する(笑)。
実際の歴史についてはミリタリー基礎講座 2 (歴史群像アーカイブ)のシリーズを提供し、架空の歴史に関しては、この「アナザー・センチュリークロニクル」シリーズを提供する。必ず、同世代の企画屋がいるに違いない。
ちなみに自作は押井守監督の「ケルベロス・サーガ」。これも細かい設定(へ理屈ともいうが)がいろいろとあるので(笑)、読み物として期待である。
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