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2009.03.18

書評<エコ・テロリズム>

日本では”反捕鯨”活動で知られる、シー・シェパードなどの過激な環境保護団体。彼らは我々が考えるより過激で、実験動物を扱う企業の役員を襲撃し、施設を放火して実験動物たちを”解放”する。”地球環境を守る”というお題目のもとに実行されるテロは、「エコ・テロリズム」と称されてFBIなど当局も警戒する。彼らはどのような思想的背景から生まれ、どのように分派してきたのか?それに対するカウンター的な集団も存在も含めて、知られることの少ないエコ・テロリストたちを解説する。

著者は哲学方面の方であり、本書も”エコ・テロリズムと社会の関係”というよりは”エコ・テロリズム”の思想的な面を探索していく。昨今は世界中どこもかしこも”地球環境保護”や”エコ”が絶対正義のお題目として掲げられるが、エコ・テロリストたちのような過激な行動をとるのはアメリカの白人周辺に限定される。これは”市民的不服従”や”キリスト教的終末論”が彼らの思想に根ざしているからだ。例えば「アメリカという国がそもそもイギリスの”理不尽な法”を暴力で乗り越えたきたのだから、現在の理不尽な連邦法も乗り越えるべきである。」というような、アメリカならではの思考法あるいは哲学が彼らの根本にある。そして環境保護活動が大衆運動化していく過程で分派し、一部が先鋭になっていくという、リベラル的な社会運動にありがちなパターンを踏んでいる。

日本にもエコ・テロリストたちの協力者がいるようだが、宗教や日本人的な曖昧な思考を超えて、本書にあるようなそのアメリカ的な哲学を理解しているのだろうか?科学の恩恵を信じて生きている我々一般人よりは、彼らに読んで欲しい、哲学解説の書である。

初版2009/03  洋泉社/新書Y

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