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書評<インテリジェント・デザイン>

例えば生物の眼の精緻な仕組みは、ダーウィンの進化論、あるいは近年の分子生物学を取り入れたネオ・ダーウィニズムを持ってしても、どのように生まれてきたかは説明できそうにない。何らかの”大いなる知性”が、その形成にかかわったに違いない ――――― 聖書をバックボーンとした創造論に代わり、進化論のカウンターとして台頭してきたのがID、インテリジェント・デザイン理論である。本書はアメリカで急速にその地位を高めつつあるID理論を解説していく。

自分はダーウィニズムの信奉者だが、それに対するID理論とは何かを知るために本書を手に取ってみた。
が、サイテーの本であった。専門用語をそれらしく並べてはいるが、ネットから適当に文章を拾ってきて書き飛ばしたに違いない(巻末に”参考ウェブサイト”は掲載されているが、”参考文献”は0だ)。まずもって、進化論以前に生物学の基本がまったく理解できていない。例えば有性生殖。雌雄のDNAの融合は”遺伝子の破壊”ともいえるものであり、自らの子孫を残すならコピーを繰り返す無性生殖の方が有利だと本書にはあるのだが・・・あのねえ、どこからその理論、引っ張ってきた?自分のコピーを作るだけだと、何か環境の変化があれば全滅してしまう。そのために、自分とは少しずつ違う子孫を残すことによって、少しでも子孫が生き残る確率を高めようとして高等生物は有性生殖をする。変化こそが、止まることのない時の流れに対応することなのよ。
その他、様々なところで基本的な知識の錯誤、論理の破綻がみられる。いわゆるトンデモ本の範疇の本であった。というか、本書が「ムー」の別冊とは知らず、比較的マジメな本だと思ってレジに持っていった時点で、オレの負けだな(笑)。

それでも、ID理論そのものが論理破綻しているのが理解できたのは収穫かも。ID理論を唱える学者は、いわゆる創造論との相違を主張するが、説明すればするほど人間を中心に考える創造論との区別がなくなっていく。何より、”デザイナー”が神ではないというのなら、それに代わるデザイナーとは何者かを提示する義務があると思うのだが、そこからはしっかり逃げている。

それでもID理論に興味ある方は本書ではなく<反・進化論講座―空飛ぶスパゲッティ・モンスターの福音書>をお薦め。ID理論がギャグにしかならないことを証明しています。

初版2009/03 学習研究社/ハードカバー


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