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書評<魚のいない海>

歴史上、人類は漁業テクノロジーの発展と共に、様々な漁場で様々な魚類を消滅に追い込んできた。いわゆる過剰漁業である。現在ではクジラはいうに及ばず、様々な魚種の漁獲量が国際条約などにより制限されている。それでも、なかなか一度崩れた生態系は簡単には元に戻らず、漁業資源は減少の一途を辿っている。本書はフランスを中心としたヨーロッパの状況を中心に、漁業の歴史や漁獲量の統計方法を踏まえ、漁業資源の減少の原因が果して過剰漁業によるものであるかを検証し、さらに別の要因も探っていく。

著者はフランス人なので、上記のように本書はヨーロッパから見た漁業の歴史と現状を検証するレポートである。なので、日本人の視点からだと「今さらクジラ捕るなとかマグロ獲るなとかよく言えるな」というのが第一印象だ。産業革命に前後するように、欧州でもいくつもの漁場を過剰漁業で潰しているのである。結局、漁業もまた既得権益なんだろう。
本書は又、現状の漁業と狩猟の本質的な違いを指摘する。漁業は陸上動物を狩るのと違い、網で目的外の魚を大量に混獲したり、海底を根こそぎすることによって生態系を簡単に狂わせてしまう。これに昨今の環境破壊も追い打ちをかける。後に残るのはクラゲだけ、という結末になりかけないのが現状だ。巻末に日本の漁業の現状も追加で掲載されているが、状況は似たりよったりである。

ところで、今年の早春、北海道ではもはや戻ってこないと思われたニシンの群れが再来した。本書では荒れてしまった漁場の不可逆性について悲観しているが、そうでもないようである。海はまだまだ分からないことが多い。

初版2009/03 NTT出版/ハードカバー

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