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書評<リスクにあなたは騙される>

不謹慎かもしれないが、前から不思議なことがある。卑劣な自動誘拐犯のニュースが流れると、それに呼応して集団登下校が始まるというニュースが流れる。さらに、その児童の列に自動車が突っ込み、複数の児童が死傷したというニュースが重なる。1人の児童が死傷する確率は、誘拐よりも交通事故の方が高い。それではなぜ、社会はなぜ集団登校を選択するのか?

本書はこうした様々なリスクについて、人がどのように判断し、行動するかを分析したものである。そのリスクは上記のような犯罪や事故、さらには摂取する化学物質やテロに及ぶ。
そのなかで常に強調されるのは人間が判断するときは常に”頭”と”腹”が葛藤するということである。いわば理性と感情、思考と無意識の葛藤といったところであろうか。それは様々な心理テストなどで証明されている。テロに対し、過剰に反応すれば別のリスクを負うことになるが、人はそう反応してしまう。殺虫剤で人類は多大な恩恵を受けているのに、わずかな副作用を過剰に問題にする。人間の反応は常に”腹”に傾きがちだ。
そしてその心理に、メディアや政府、リスクコンサルタントがつけ込む。彼らは統計調査を都合のよいところだけ抜き取り、犯罪発生率や化学物質の癌への影響を指摘し、不安を煽る。現代社会では”不安”こそが、様々な需要を作り出しているのだから皮肉だ。

「確率の問題だ」とは、某マンガの自分の好きなセリフである。メディアの報道に対し、脊髄反射しがちな日本国民だが、常に確立というものを念頭において冷静に対処したいものである。


初版2009/04 早川書房/ソフトカバー

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