書評<現代萌衛星図鑑>
人工衛星まで擬人化してしまう今日この頃・・・もうやだこの国!と思いながらも、購入してしまうオタクの業の深さ。
ですが、本書は思わぬ”当たり”です。日本の人工衛星、たいていが一筋縄ではいかない歴史を背負ってます。計画から打ち上げ、そして運用の各段階で技術的な限界や政治的な思惑、予算の壁など苦難の連続。これを擬人化すると、けなげでひたむきなのに、なかなか報われない薄幸の少女にならざるをえない。これに涙を誘われずにはいられないのです。
監修は個人的に一番信用のおける宇宙関係のジャーナリストだと思っている松浦晋也氏なので、データその他にミスはありません。作画の方の思い入れもメッセージも深い。
本書を読めば、先日月面への帰還を果たした”かぐや”や、いまだ地球へ帰還途中の”はやぶさ”の無事を祈らずにはいられなくなること間違いないでしょう。
初版2009/06 三才ブックス/ソフトカバー
« 書評<リスクにあなたは騙される> | Main | 書評<「帝国アメリカ」に近すぎた国々ラテンアメリカと日本> »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 書評<ベリングキャット ――デジタルハンター、国家の嘘を暴く>(2022.08.28)
- 書評<バルサ・コンプレックス “ドリームチーム”&”FCメッシ”までの栄光と凋落>(2022.05.25)
- 書評<冷蔵と人間の歴史>(2022.05.24)
- 書評<ザ・コーポレーション>(2022.05.23)
- 書評<狩りの思考法>(2022.04.19)
The comments to this entry are closed.
Comments