書評<アメリカ合衆国の異端児たち>
アメリカは建前上は差別のない、自由の国だ。その一方でアメリカは移民の国であり、人種・民族・出身地・宗教などで、強固なコミュニティを構成する。この2つの相反する要素が、人物を”怪人”にする。アメリカにおける最高位に上り詰めたのに、ワシントンの政財界人たちを強烈に”妬む”大統領。一族が貯め込んだ富をキリスト教右派にバラまくセレブ。飛び級の天才が、文明社会の外から爆発物を送りつける爆弾魔になっていく。本書は政界・経済界・軍隊などの各分野で、歴史に強烈な印象を残した人物を紹介する。パットンやマッカーサーといったミリオタにお馴染みの将軍から、J.F.ケネディの暗殺の黒幕と疑われる石油資本の雄まで、その幅は広いものの新書版なので記述そのものは薄い。たびたび著者の他作品の参照を促されるので、WASPとか地域間の諍いとか、テーマ別に著者の他作品を読んだ方がいいと思うほどである。指摘が鋭いだけにもったいないと言わざるをえない。新書の限界っすかね。
初版2009/07 日本経済新聞出版社/日経プレミア新書
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