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書評<アイゼンフリューゲル>

地球でいえば1940年代後半、文明を発展させた人類は航空機で天空へも進出していたが、そこにはまだ畏怖の対象たる”龍”たちが住む架空の世界。
天才技術者が率いる人里離れた研究所にて、スピードの限界を迎えていたレシプロ機関に代わるものとして、ジェットエンジンを搭載した航空機が初飛行を迎えようとしていた。3年前の戦争の英雄だった過去を捨て、命知らずのテストパイロットとして生きる主人公、カール・シュニッツはその機を駆り、龍たちに挑む。


今どきのラノベには珍しく、萌えキャラがまったくいない(ヒロインはいるがまったくの端役)、男たちの世界を描いた作品である。端的にいえば音速に挑むジェットエンジン創成期のお話であり、龍の存在を除けば映画「ライト・スタッフ」そのものといって過言ではないだろう。
秀逸だと思うのはキャラ設定。研究所の後ろ盾の軍の担当者として、研究所に干渉する主人公のライバルたる男がいるのだが、彼がいいのだ。たいてい、この役どころはいかにも役所仕事のイヤミなキャラに設定しがちだが、彼は「自軍のパイロットたちを死なせないために、最高の戦闘機を手に入れる」ことを信条としている。その覚悟は、正直言ってナイーブな主人公よりも心に響く。防衛省の内局にも、このような覚悟がある官僚がいればいいのだが。

初版2009/07 小学館/ガガガ文庫

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