書評<サッカー戦術クロニクルII>
サッカーの戦術は日々進化している。前作「サッカー戦術クロニクル」はその最新の戦術を追ったものだったが、本作は”トータル・フットボール以前”、つまりマンマークやロングボール戦術がなぜ廃れていったか(完全に消え去ったわけではない)を解説する。そのうえで、最新の08-09シーズンのヨーロッパのフットボール・シーンを捉え、何が継承され、何が消え去ったかを検証する。
有料放送を見ているわけではないので本書に登場する最新のサッカーをすべて見ているわけでもないし、過去の有名な試合を実際に見ているわけではない。だが本書を読むと、サッカーの戦術の変化を的確に掴むことができる。これだけでも、著者が戦術の解説に長けていることがわかるだろう。誰もが注目するクライフのトータル・フットボールではなく、その対戦相手の西ドイツのベッケンバウワーのリベロ戦術の面白さに目を向けたりと、視野も広い。サッカーを見てなくても、見ている気にさせる本だ。
サンフレッチェ・サポーターとして嬉しいのは、Jクラブのチームとして唯一、ときどき名前が挙がること。J2に落ちたりもするけど、新しい戦術に挑戦する監督をちゃんと選んできてるのね。比較的しっかりしているフロントに感謝。
初版2009/09 カンゼン; 第1版/単行本
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