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陸自丘珠駐屯地記念行事に行ってきた

抜けるような青い秋空の札幌に相応しいヘリの祭典、陸自丘珠駐屯地記念行事に行ってきた。
まずは地上展示機を紹介。
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空自からは千歳AB救難隊から捜索機U-125AとUH-60Jが参加。50周年記念Tシャツ販売と女性隊員がいらっしゃったせいか、一番の人気者でした。
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海自からはSH-60Jシーホーク。なぜかエンジンのカバーなど開けてサービス。
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陸自のゲスト機はCH-47J。写真のようにチャフ・フレアー発射機の土台を装着。民主党政権がアフガニスタン派遣を選択すれば、間違いなく派遣される機体になるでしょうね。
マイミクさんと挨拶などしていると、デモフライトの時間。露払いは中央即応集団の第一空挺団がパラシュート降下。
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風もあんまりないし、雲もないしで、ここ何回かの基地祭の降下の中ではベストショット。
そしてここからが本番、AH-1S、OH-1、HU-1Jが機動飛行。
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思ったよりおとなしめのデモ。OH-1あたりはもうちょい”空戦ヘリはダテじゃない”ところを見せてたと思うんですが、いつかの事故以来、自粛気味ですね。
丘珠は隣が民間空港なので、ときどき旅客機の離着陸でデモが中断。ヘリが並ぶ中に降下してくる絵はなぜかシュール。
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次は昨年も実施された警察や防災ヘリとの競演による救助デモ。
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OH-1が偵察した後は、スピーカー付きのOH-6が要救助者に呼びかけます。OH-6は飛行場をカニ歩きのごとく横移動。ヘリってホントによく動く。
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その後は警察と陸自が仲良く並んでリペリングしたりします。
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昨年より進化したのはここ。
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救急車に患者を手渡すとこまでがヘリの仕事ってことですね。
さらに火災への対応。
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消防車の水の勢いが続かなくてですねえ、隣の子供が「中途半端」と嘆かれてました(笑)。
そして目玉の編隊飛行。
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ヘリが次々と離陸して集合するのは絵になりますねえ。
そして最後は一機種ずつ挨拶。
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ヘリからのダウンウォッシュすら心地よい風に感じる、いい日和でした。願わくば、サンダーバーズのフライトもこうでありますように。

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F-4F Completed

シルバーウィークは現実逃避して、またロングノーズ・ファントムを組んでました。
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そもそも今年、ロングノーズ・ファントムを連続して製作しているのはSMOKE TRAILSという、現役最後の時を過ごすファントムの写真集の影響が大きいのですが、このルフトバッフェのファントムも美しい空撮写真が掲載されているうちの一機です。
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西ドイツ空軍はロングノーズ・ファントムをF-104Gの後継として導入、F-4Fとして配備しました。空自のF-4EJは爆撃関係の危機をFCSから外しましたが、F-4FはAIM-7スパローの運用能力を外しました。その後、ICEと呼称される近代化改修によりAIM-120AMRAAMの運用能力を付与し、BVR(視程外)空戦能力を獲得しています。
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キットはハセガワ1/72の限定版キットをストレート組み。垂直尾翼と機首のピトー管のみ交換するいつものパターン。
塗装はJG74メルダース所属機。実のところドイツ空軍のファントムは歴代のカモフラージュが個人的に好みではなく、触手が伸びなかったのですが、この制空迷彩はイイです。上面がクレオスC337とC307のカウンターシェイド、下面がC308の塗装指示をそのまま採用。初期のホーネットがこのカラーだったですかね?黒立ち上げでグレーを吹きつけ、やや暗めの疲れた感じを狙ってます。実機はパネルラインが浮き出る汚れ方をしてるんですが、なんか塗装がうまくいき、もったいないのでこれ以上のウェザリングはやめときました。
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ドイツ空軍のファントムⅡも余命わずか。比較的、周囲の情勢が安定しているヨーロッパでさえユーロファイターへの全面転換がせまっているのに、空自は何をしてるんでしょうね。新政権の防衛大綱の中身が気になりますが、むしろ空自の尻を叩いてほしいものです。

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書評<天界の標1~メニー・メニー・シープ>

天冥の標 1―メニー・メニー・シープ<下>

時は西暦2500年代。人類は銀河系に植民星を拡げていた。その植民星の一つ、メニー・メニー・シープでは恒星船の事故により高度な技術を失い、文明レベルを落としながらも都市を築き、人々が生活を営んでいた。しかし、そのささやかな繁栄の前に暗雲が立ちこみ始める。

あらかじめ全10巻の長編シリーズを予告されているSF作品の第一巻。よって、様々な設定やナゾは投げっぱなしで、人類やアンドロイド、ソフトウェアやいわゆる異星人など、メインとなる勢力のとりあえずの紹介をしてみただけ、といっていい。その他遺伝子改変など様々なSF的要素はもれなく盛り込んでおり、今後の展開が楽しみである。
個人的な予想としては、たぶんこの「メニー・メニー・シープ」から過去にさかのぼるパターンだな、これは。

初版2009/09 早川書房/ハヤカワ文庫JA

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書評<倒壊する巨塔>

倒壊する巨塔〈下〉

9.11同時多発テロはなぜ起きたのか?なぜ防げなかったのか?本書はテロの首謀者とされるアルカイダのビン・ラディンと、それを阻止する側のFBIのジョン・オニールを中心に据え、その生い立ちから家族、思想信条などを徹底的に掘り下げることによりそれを解き明かしていく。特にビン・ラディンに関してはその思想信条の根源を2次大戦後まもなくの人物まで遡り、サウジアラビアあるいは中東を舞台とする”ローカル・テロリスト”からアメリカをターゲットにしていくまでを詳細に記述していく。

「なぜイスラム原理主義テロリストが生まれるのか?」「彼らは本当にムスリムの中で異端なのか」「彼らはなぜアメリカを敵視するのか」「「9.11テロはビン・ラディンがいなければ起こらなかったのか」などなど、9.11同時多発テロには今なお根本的な疑問がつきまとう。本書はその疑問にビン・ラディンの人物像にせまることにより、それを解き明かそうとしている。サウジアラビア、イエメン、スーダン、パキスタン、そしてアフガニスタン・・・流浪の旅のごとく彷徨う彼の人生の中で、どのような思想が彼の中に育ち、アルカイダを結成し、9.11テロにいたるのか。宗教に対して信心をもたないありきたりの日本人の自分が、その過程を理解できたとはいわないが、それでも目を通した類似書の中では、もっとも納得のいくものであった。
一方でアメリカ側。FBIのジョン・オニールの皮肉な人生は、なぜアメリカが9.11テロを防げなかったを端的に表している。FBIとCIAという巨大な官僚組織の長年に渡る軋轢。情報は組織を渡ることなく滞り、官僚は失点を避けるために互いの行動の邪魔をする。9.11テロの直後、初めて情報開示制限を解かれたときにFBIの捜査官が嘔吐するシーンは”アメリカの失敗”を象徴している。
原著は2006年に刊行され、ピュリツァー賞を受賞しているが、まさにそれに相応しい大作だ。

初版2009/08 白水社/ハードカバー

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陸自北恵庭駐屯地記念行事に行ってきた

シルバーウィーク?何それおいしいの?というわけで、ふだんの休日と変わりなく、陸自の北恵庭駐屯地記念行事に行ってきた。
北恵庭駐屯地は、北部方面隊直轄の第1戦車群や第7師団隷下の第72戦車連隊などが駐屯する”戦車の基地”。なのでどこを向いても駐屯地はMBTばっかりです。
正門をくぐるとゲートガード代わりの90式戦車。
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74式戦車は投光器つきの車両も並んでます。
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駐車場も90式戦車でいっぱい。
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この駐車場のある90式戦車の視察機器には、たぶんここだけの改良がなされてます。
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太陽の角度によっては画像が見にくいので、日除けをつけてるんだそうです。破損防止にもなりそう。
装備品展示場にも現役の両MBT。
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数が少なくいせいか、他の駐屯地ではめったに展示されない78式と90式の両戦車回収車も駐車。
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基地の中はどこを向いてもMBTなわけだが、なぜか訓練展示はテロリストの制圧(たぶんグランドがせまいせい)。
64式小銃を使いこなすマニアックなテロリストに、パジェロ(通称)に搭乗した隊員たちが突入。
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しかし相手は12.7mmも持っていて、パジェロに定員オーバーな感じで一時撤退。アフリカ方面のテクニカに乗った民兵を連想させる。
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その代わりにMBTを援護に呼んじゃう。火力にはより上の火力で対抗。
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だがテロリストも状況打開のために遊撃隊を呼びます。
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こっちの方がなぜかカッコイイと思ってしまう。これでRPGでもかまえたら、まんまアフガンゲリラっすね。陸自側はさらに歩兵を送って数で対抗、建物に突入。
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最後にテロリストを包囲して状況終了。戦車部隊の隊員も、基本である歩兵の訓練はこなしてるってことですね。でもライフルが64式小銃ってとこが、車両以外の装備に金が回ってないことを感じさせてちょっと悲しい。

式典で今回の衆院選で当選した民主党の女性議員が挨拶したけど、その言葉ほど安全保障の事を考えてるとはとてもじゃないけど思えないんだよね。街中で空砲撃って訓練展示できる意味、駐屯地59周年という時間が積み重ねた抑止力の意味を実感してくれてればいいのだが。

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書評<サッカー戦術クロニクルII>

サッカーの戦術は日々進化している。前作「サッカー戦術クロニクル」はその最新の戦術を追ったものだったが、本作は”トータル・フットボール以前”、つまりマンマークやロングボール戦術がなぜ廃れていったか(完全に消え去ったわけではない)を解説する。そのうえで、最新の08-09シーズンのヨーロッパのフットボール・シーンを捉え、何が継承され、何が消え去ったかを検証する。

有料放送を見ているわけではないので本書に登場する最新のサッカーをすべて見ているわけでもないし、過去の有名な試合を実際に見ているわけではない。だが本書を読むと、サッカーの戦術の変化を的確に掴むことができる。これだけでも、著者が戦術の解説に長けていることがわかるだろう。誰もが注目するクライフのトータル・フットボールではなく、その対戦相手の西ドイツのベッケンバウワーのリベロ戦術の面白さに目を向けたりと、視野も広い。サッカーを見てなくても、見ている気にさせる本だ。
サンフレッチェ・サポーターとして嬉しいのは、Jクラブのチームとして唯一、ときどき名前が挙がること。J2に落ちたりもするけど、新しい戦術に挑戦する監督をちゃんと選んできてるのね。比較的しっかりしているフロントに感謝。

初版2009/09 カンゼン; 第1版/単行本

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F-16C Completed

ハセガワ1/72ロッキード・マーチンF-16Cファイティングファルコン×2、完成しました。
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F-16ファイティングファルコンは現在、保有機数上はアメリカ空軍の主力戦闘機となっています。多くの州空軍にも配備され、テキサス州空軍もP&W F100-PW200を装備したF-16Cの初期型を受領しています。
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キットはハセガワの”テキサス ANG 111FS 90周年スペシャル”をストレート組み。ピトー管をファインモールドの金属挽きもの、ノズルをアイリスのレジンキットに交換。F100のノズルは非常に塗り分けにくいので、ディテール・アップというよりも、塗装対策の意味の方が強いかも。
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塗装は記念塗装機そのものではなく、付属のデカールを使用してセンスのいい通常塗装機としています。デカールはシルクスクリーンで余白がほとんどない上質なもの。スムーズに作業がすすみます。

このキットは2機セットなので、もう一機はTWO BOBSのデカールを使用してアグレッサーにしました。
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ただし、こちらはGEのF110を搭載したブロック30の機体。キットは初期型がセットされているので、同じくハセガワのF-16CJのキットからMCIDと呼ばれる拡大されたインティークとジェット・ノズルをコンバートしてきています。
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今回の製作で自分的にがんばったのはF110のノズル。プラ板を内側に貼り込んで段差をつけ、外側を3色の調合した金属色で塗り分けてます。武装はACMIポッドにAIM-120とAIM-9Lのイナート、さらにCATMのコンボ。ACMIポッドとAIM-9L、AIM-120はいずれもハセガワのウェポンセットから、CATMは同じくウェポンセットのACMIポッドにプラ板を追加して整形して自作。わざわざCATMを搭載するのはF-16CのRCS(レーダー反射面積)が低く、地上管制レーダーで捉えにくいだからとか。
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塗装はアラスカのアイルソンAFBに配備されている18AGRSの所属機。雪国っぽいモノトーンの迷彩をフリーハンドで吹いています。塗装指示はホワイトがクレオスC311、グレーがC57、ダークグレーがC343となっていますが、C343が存在しないため、トーンが近そうなC339エンジングレーを使用。C57とC339は光沢色のため、フラットを混入してツヤをととのえています。

久々にハセガワ1/72のキットを組みましたが、適度な省略と組みやすさでスイスイと工作が進みました。
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ポーランド空軍仕様にしたアカデミーのF-16との比較。アカデミーのパーツの一面に打たれた繊細なリベットは確かに見事ですが、形状としてはやや扁平でしょうか。それとハセガワのキットはダボの大きさや機体下面のフィンの差し込み口の長さなど組み手に配慮されていて、最新キットがすべての面において勝っているわけではないようです。

さて、札幌も涼しくなってきたので、引き続きサクサクと完成させていきますかね。

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2009年度陸自帯広駐屯地記念行事に行ってきた

札幌から片道3時間半のドライブ、初めて陸自帯広駐屯地の記念行事に行ってきた。
帯広駐屯地は陸自第5旅団の根拠地。何に驚いたって、その規模と人の数。帯広駐屯地はヘリポート併設なのでコンクリートのエプロンがあり、そこに隊員さんのお店にプロの出店が並んでちょっとしたお祭り騒ぎ。
装備品展示も早い時間はクリアに撮影出来たが、時間が経つとあっという間に子供の遊び場と化していた。
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MPMS多目的誘導弾(赤外線画像認識のオプティカルファイバーTVM誘導)、対空誘導弾、化学防護車など、旅団で完結できる最新鋭兵器が揃ってます。
記念行事の規模の大きさに相応しくというかなんというか、観閲式典では国会議員が4人も挨拶。選挙後を受けて、自民党の代議士が「政権が国防をおろそかにしないよう努力する」と挨拶したかと思えば、新党大地党首は「そもそも師団を2つ減らしたのは自民党」と当てこすり。「安全保障が国の基本」と言うなら、政党政治を現場に持ち込むなっつーの。
そんなこんなで、簡閲行進開始。
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新しいレンズを買ったので、アップを多めにしてみました(笑)。ヘリはAH-1Sもいるはずなんだけど、OH-6とHU-1のみ参加。
ラストは訓練展示。雲が多く、ときどき雨がパラパラくる生憎の天気でしたが、中央即応集団による空挺降下から開始。
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その後はまず敵陣地の制圧デモ。まずはヘリと軽装甲機動車と87式偵察警戒車が偵察。
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155mm自走榴弾砲による援護射撃、そして地雷原を開原した後は、90式戦車による火力制圧。
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それでもってヘリの援護射撃のもと、96式装甲装輪輸送車が突入して兵員を下ろし、敵陣地を制圧します。
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この間、ベニヤ板で組んだ小屋を爆破したり、発破を使った演出満載。
この後、輸送車を盾にして場所移動、ヘリからのリペリング降下を含んだ建物制圧を実施。
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オレたちゃ野戦も市街地戦闘もいけまっせ、というアピールのデモなんだろうな。
ここで状況終了。今年はまだ普通科のデモを見ていなかったんで新鮮でした。
帰りは、駐車場から正門出るまで30分。ヘタしたら東千歳より観客が多いんではなかろうか。道東の自衛隊の密着度を改めて実感した次第です。

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<かくして冥王星は降格された>

2006年8月、国際天文学連合(AIU)は太陽系第9惑星の地位にあった冥王星を降格し、準惑星とする決定を下した。本書はどのような経緯から冥王星が第9惑星から太陽系外縁に存在する小惑星の中の1つと判断されるようになったのか、このAIUの決定に前後して発生した、多くの天文学者、あるいは科学好きな市民を巻き込んだ論争はどのものであったかを検証する。


タイトルは忘れたが、エンディングテーマに「水金地火木土天海冥♪」との歌詞を入れたアニメがあった。アメリカにも似たような語呂合わせがあるらしい。冥王星を惑星から外すとなると、教科書を含めた多くの書籍などに改正を加えなければならない。また、冥王星はアメリカ人が発見した唯一の惑星であること、ミッキーマウスのペットが「PLUTO」であったことなどから、冥王星を惑星から外すことに関しては、日本では想像できないような論争がアメリカではあったようだ。その論争の当事者の一人であった著者が、その経緯を科学的な分析から著者への手紙なども含めて紹介し、”冥王星の降格”が天文観測技術など科学が発達した故のこと、それがかえって惑星への興味を増すことになることなどとしている。
科学的分析だけではない、文化的な素養も含んだ面白い本なのだが、この内容で¥2000はないだろ、というのも事実。本はインフレしてるねえ。

初版2009/08 早川書房/ハードカバー

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書評<麻薬とは何か―「禁断の果実」五千年史>

まだ文明が発展する以前から、人類は麻薬を様々な形で使用してきた。そして大航海時代以来、人類が大規模な移動を始めるようになると、それが世界中に広がっていく。アヘン、ヘロイン、コカイン、大麻、LSD・・・・これらは当初は薬品として用いられ、やがて中毒性が明らかになって違法となる歴史の繰り返しである。これらにはどんな文化的背景は潜んでいるのか?肯定や否定ではなく、麻薬が人類の歴史にどのように関わってきたかを検証する。

人類全体の悪徳とされながら、今もってその蔓延を防ぐことのできていない麻薬。それに対する抵抗感は、個人の生い立ちやおかれる環境によって千差万別であろう。個人的には子供のころに見た80年代のハリウッドの刑事映画に強く影響を受け(麻薬ディーラーは必ず死に至る)、忌避感が強い。だが、そのハリウッド映画を例に見ても、ここ最近は麻薬との戦いは大きな挫折をもって描かれる。その中毒性や身体への影響が喧伝されるのにも関わらず、人々がそれに手を出してしまうのはなぜか?本書で語られる麻薬と人類に関わる長い歴史をみると、その一端が見えてくるような気がする。知恵を持つ動物として、身体あるいは精神的な限界を乗り越えようとするときに、比較的安易にそれを実現できる気にさせる麻薬たち。そこまで限界を追求する気にはならない自分の怠惰さが、むしろ今まで自分を麻薬から遠ざけてきたのかもしれない。問答無用に否定的なものとして捉えるのではなく、麻薬と人間、もしくは個人の関係を考えるきっかけとなる書である。

初版2009/05 新潮社/新潮社選書

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