<かくして冥王星は降格された>
2006年8月、国際天文学連合(AIU)は太陽系第9惑星の地位にあった冥王星を降格し、準惑星とする決定を下した。本書はどのような経緯から冥王星が第9惑星から太陽系外縁に存在する小惑星の中の1つと判断されるようになったのか、このAIUの決定に前後して発生した、多くの天文学者、あるいは科学好きな市民を巻き込んだ論争はどのものであったかを検証する。
タイトルは忘れたが、エンディングテーマに「水金地火木土天海冥♪」との歌詞を入れたアニメがあった。アメリカにも似たような語呂合わせがあるらしい。冥王星を惑星から外すとなると、教科書を含めた多くの書籍などに改正を加えなければならない。また、冥王星はアメリカ人が発見した唯一の惑星であること、ミッキーマウスのペットが「PLUTO」であったことなどから、冥王星を惑星から外すことに関しては、日本では想像できないような論争がアメリカではあったようだ。その論争の当事者の一人であった著者が、その経緯を科学的な分析から著者への手紙なども含めて紹介し、”冥王星の降格”が天文観測技術など科学が発達した故のこと、それがかえって惑星への興味を増すことになることなどとしている。
科学的分析だけではない、文化的な素養も含んだ面白い本なのだが、この内容で¥2000はないだろ、というのも事実。本はインフレしてるねえ。
初版2009/08 早川書房/ハードカバー
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Comments
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おはつにおめにかかります。
そのアニメは宇宙大帝「ゴッドシグマ」ですね。
キャラクター原案に、ミリタリーマニアにもおなじみの新谷かおるがかかわっていました。
情報まで。
Posted by: Yukitomi | 2009.10.03 23:50
>Yukitomi
情報、ありがとうございます。
新谷かおる、いろんなお仕事されてるんですね。
Posted by: ウイングバック | 2009.10.04 08:17