書評<黄昏の狙撃手>
伝説のスナイパーであるボブ・リー・スワガーの娘、ニッキは今や地方新聞の記者となりサツ回りを担当している。ある取材があった夜、ニッキは峠道で交通事故に合う。独自に調査を進めるボブは、その事故が高度な運転技術を持つ暗殺者の仕業であったことを知ることになる。ボブは危険を顧みず、その犯人と背後組織にせまっていく。
スワガー・サーガの最新作。前作は舞台が日本であり、ややトンチンカンな描写にとまどったが、本作はアメリカ人の魂であるクルマとガンをしっかりと中心に据えている。中西部の田舎町を熱狂させるNASCARレースとそれにまつわる大がかりな犯罪。狙撃銃の世界ではトレンドである大口径のアンチ・マテリアル・ライフル。マニアックなその描写は、やはり本シリーズはガンを中心に据えなければと思わせる。前半はやや展開がゆったりしているが、後半の怒涛の銃撃戦はさすがと思われる出来。さすがはスティーブン・ハンターである。
初版2009/10 扶桑社/扶桑社ミステリー
« 書評<雑食動物のジレンマ> | Main | 書評<ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争> »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 書評<ベリングキャット ――デジタルハンター、国家の嘘を暴く>(2022.08.28)
- 書評<バルサ・コンプレックス “ドリームチーム”&”FCメッシ”までの栄光と凋落>(2022.05.25)
- 書評<冷蔵と人間の歴史>(2022.05.24)
- 書評<ザ・コーポレーション>(2022.05.23)
- 書評<狩りの思考法>(2022.04.19)
The comments to this entry are closed.
Comments