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2009.11.10

書評<煙突の上にハイヒール>

空の散歩を可能とした背負い式のリフトファン。猫の首輪に取り付けられる小型カメラ。今あるテクノロジー、あるいはちょっと未来のテクノロジーが巻き起こすドラマを描いた短編SF集。決して破天荒ではないが、テクノロジーの発達が実現させる、日常からちょっとだけ離れた冒険を描いている。
その中で、最終話「白鳥熱の朝に」だけは別の雰囲気を持つ。新型インフルエンザのパンデミック以後の物語で、”新型インフルエンザ感染国内第1号”の少女が背負う十字架の物語だ。パンデミックそのものよりも、マスコミの過剰な報道が人々をヒステリックにさせる怖さ。今年の春に成田で繰り広げられた検疫騒動が一歩間違えるとこうなっていた、というシュミレーションのようだ。フィクションではあるが、マスコミの方にはぜひ読んでもらいたい。

初版2009/08 光文社/ソフトカバー

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