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書評<プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー >

脳に異常タンパク質が凝集し、その機能が失われていき死に至る病、伝達性海綿状脳症。またの名をプリオン病。現在の食品業界が用いる殺菌方法を突破し、種の壁さえ乗り越えて伝播するプリオン病。狂牛病の名で日本でも一時期、ヒステリックな反応を呼び起こしたことは記憶に新しい。そのプリオン病のメカニズムを説明した科学者はノーベル賞も受賞しているが、プリオンと呼ばれる異常たんぱく質そのものを発見したわけではない。実はプリオン説はまだ仮説に過ぎず、異説が存在する。本書は筆者がプリオン説に基づいて伝達性海綿状脳症を解説し、それに反論を試みる。

本書の初版が2005年だが、2009年末の今だプリオン説を全面否定あるいは肯定する研究結果は為されていない。治療法が見つからないのならともかく、原因も今だ確定しないところに、この病気の異常さが強調される。本書はプリオン説とその異説について、そのメカニズムと、また我々が知ることの少ない病原体の観測方法を分かりやすく解説してくれる。電子顕微鏡ですべてが分かるはずもないし、何万匹もの実験用マウスを犠牲にしても結果が望んだとおりに出るとは限らない。そんな最先端医療の一端を垣間見ることもできる本書は、ただの科学解説書異常の価値があるだろう。

初版2005/11 講談社/ブルーバックス

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