書評<富士山噴火>
美しい富士山は活火山であり、噴火による被害を想定した、いわゆるハザードマップが作成されてされている。火山の噴火による被害は火山灰の降下、マグマの流出、火砕流など様々なものがあり、本書は世界の活火山の噴火による実例と、ハザードマップをもとにして、富士山噴火でどのような事態が起きるかを解説している。事例解説は平易に、想定される事態は冷静に解説されており、非常に役に立つものである。
静岡市に引っ越して2ヶ月、伊東市を中心にした起こった群発地震にビビり(静岡市は震度2が1回あっただけだが)、急きょ購入してみた。
結論から言うと、富士山の西側である静岡市は案外と大丈夫そうである。これは周辺の地形や上空の偏西風の影響が大きく、むしろ東京を含む関東一円の方が火山灰降下などの被害が大きいと想定されている。怖いのは東海地震や東南海地震との連動だ。そうなると、経済的な問題含めて地域的な問題ではなく、日本全体を揺るがすことになりそうだが。
火山噴火は大変な被害をもたらすが、その後は肥沃な大地の形成など恩恵をもたらす、と締めるところが学者さんらしい科学解説書である。
初版2007/11 講談社/ブルーバックス
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