書評<まんが パレスチナ問題>
とかく、日本人にはパレスチナ問題は分かりにくい。なにせ紀元前、ユダヤ教の成立時まで時を遡らなければならないし、いっけん宗教対立にみえるパレスチナ問題が、結局は土地を巡る問題だったり、事情が錯綜するからだ。本書は、その何千年にも渡るユダヤの歴史の入門書に最適だ。マンガとはいってもいわゆるコマ割りしてあるものではなく、挿絵のように差し込まれており、風刺画みたいなものだ。
本書を読むと、つくづくもユダヤ教を巡る問題は難しいと思う。個人的には、西欧諸国の二枚舌あるいは三枚舌ともいえる外交手法が、現在の不安定な状況を生み出したと考えるが、そもそもユダ教徒に選民意識があり、歴史のおりおりの機会に同化を拒んできたことにも原因があるのではないかとも感じる。本書の趣旨としてはキリスト教もユダヤ教もイスラム教も神は同じであり、当事者それぞれのエゴを抑えれば対立の解消もありえるとしている。が、それもあくまで部外者の見方であろう。
初版2005/01 講談社/講談社新書
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