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書評<水ビジネス 110兆円水市場の攻防>


我々日本人は、さほど水について不足を感じることはないが、世界は恒常的に水不足であり、そのために紛争が起きるほどである。イメージしやすいアフリカはもちろんのこと、アメリカなど農業大国においても、今後の灌漑農業の行方が怪しくなるほどの水不足だ。
それゆえに、そこには巨額のビジネスが絡む。フランスやイギリスでは企業が上下水道のインフラを維持し、そのノウハウを持って途上国の上下水道の管理業務を請け負っている。海水の淡水化プラントも技術競争が激しい。本書はそういった水を巡る現在を読み解いている。

本書の基本路線としては、国内の水ビジネスを民間への委託によって効率化をはかり、そのノウハウと先端技術企業の持つ膜浸透技術などを用いて、世界の水ビジネスに乗り出そう、というものである。
しかしながら、この水ビジネスの民営化には別の側面がある。例えば、前述したようにグローバル企業に上下水道インフラの運営を委託した南米のとある国では、一般的な階層の国民にも払うのが難しいほど料金が高騰。料金徴収とインフラ整備がとても割に合わない地区では、水道事業そのものを停止。散々たるものである。企業はあくまで営利を追求するものであり、まして本国以外では社会的責任もさほど気にすることもない。民営化のこうした負の側面を持つ事業を臆面もなく続けられるほど、日本人がドライでいられるか?自分は否であると思う。
むしろ民営化の負の側面を見つめ直す時代ではないのか、と思う2010年現在だと思うのだが。

初版2009/11 角川書店/角川ワンテーマ新書

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