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書評<オルタード・カーボン>

時は27世紀。人類は国連の旗のもと、他の星域に拡散していた。人々の意識と記憶は小さなメモリー・スタックに収納され、人造あるいは他人の肉体に乗り移ることでほぼ永遠の生命を手に入れていた。
物語は主人公、タケシ・コヴァッチが地球のベイ・シティと呼ばれる都市にダウンロードされるところから始まる。植民星<ハーランズ・ワールド>出身で、国連の治安組織の中で汚れ仕事を引き受ける特殊部隊<エンヴォイ>所属だったコヴァッチは170年の保管刑で服役中だった。それを地球の富豪の自殺に纏わる事件の調査のために叩き起こされたのだ。コヴァッチは様々な思惑が錯綜する事件の捜査を開始する。

いかにも評価が高そうなオビに魅かれて買ってみた。一言でいうと、非常にバランスのいいSFだ。舞台設定は27世紀だが、物語の前半はそれが強調されることもなく、ハードボイルドな感じで話は進む。元特殊部隊のタフの男が知らない土地でトラブルに巻き込まれながらも、確信に近づいていく探偵物語。だがだんだんと、SFのカラーが濃くなってくる。技術的に永遠の命を得ようと、人間の精神は何百年も生きることに耐えるのはなかなか難しいこと。恋人が他人の心を持って現れたときの戸惑い。最後はちゃんとカタルシスが得られる。しっかりと世界観設定をしながらも、それは小道具でしかなく、メインはあくまでハードボイルド。自意識過剰かも知れないが、主人公の名前も含めて日本アニメの影響を強く感じるSFである。

初版2010/03(文庫版)  アスペクト/文庫

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