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書評<コンテナ物語>

1950年代前半まで、貨物船での輸送はバラ積み貨物が大勢を占めていた。そのため、船倉への詰め込みは沖仲士と呼ばれる港湾労働者に頼っており、その人件費や荷捌きのための倉庫賃貸料など、海運には莫大な費用が掛かっていた。
それが劇的に変化したのが、コンテナ輸送の登場である。工場で製品を詰め込み、専用船で海を渡り、仕向け地まで開封することなく製品の移動を可能としたコンテナ輸送がなければ、現在のグローバルな物流体制は実現できなかったであろう。
港湾労働者をまったく必要とせず、巨大なクレーンを必要とするコンテナ輸送の導入は、世界の港町そのものの姿を変える力があり、それゆえに大きな抵抗があった。そこに風穴を開けたのがマルコム・マクリーンであった。元トラック業者であり、海運業界のしがらみに捉われない彼は、コンテナ輸送を武器に風穴を開け、以後の海運業界の姿を変えることとなる。本書はマクリーンを中心としたコンテナ輸送の革命を詳細に記述したノンフィクションである。

出版社が日経BP社ということで、革命を成し遂げた経営者と、現在の物流体制がいかに成し遂げられたかを中心に読み解くべきであろうが、印象に残ったのは海運業の経営がいかに難しいかである。貨物船建造と維持の莫大な費用ゆえ、石油価格の変動や景気の循環により、名門海運会社が簡単に破綻に追い込まれる。本書の主役であるマクリーンでさえ、高速コンテナ船の失敗や世界一周航路の失敗があり、最終的には破綻に追い込まれているのだ。アイデアを即刻実施するには船舶の建造は時間が掛かり過ぎ、机上で素晴らしい航路を考えても、実際には天候など不確定要素が多い。そこを乗り越えたのがコンテナ輸送、ということであろう。
ともあれ、貨物船・物流・港など、様々な分野の歴史と現在が読み解ける、素晴らしいノンフィクションである。


初版2007/11 日経BP社/ハードカバー

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