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書評<古代文明と気候大変動―人類の運命を変えた二万年史>


地球温暖化による危機が叫ばれる昨今だが、ホモ・サピエンスがその歩みをはじめた時から、人類はずっと気候変動に翻弄されてきた。1万5千年前に氷河期が終わったとはいえ、氷河の融解や海流の変化などにより、気候は常に大変動と小変動を繰り返す。人類はそのたびに移動を繰り返しながらも、文明を築き始める。だが、農業が始まり、都市が形成され始めて発展を続けながらも、なおも気候変動が人類に襲い掛かり、そのたびに栄枯盛衰を繰り返していく。本書は世界の気候の変化を丹念に追いながら、ユーラシアと南北アメリカ大陸を中心に気候と古代文明の栄枯盛衰との関係を解き明かしていく。

ホモ・サピエンスがアフリカから長い旅を始めたその当初から、人類は気候変動の脅威にさらされ、移動してきた。本書を読むと、世界への拡散・適応という人類発展の歴史というよりは、むしろ必要にせまられて移動し、定住地を築いてはそれが崩壊することを繰り返した歴史であるとも思える。巨大都市が世界各地に築かれ、機械的生産ともいえる農業と畜産に支えられる現代でも、その脆弱性が変わらないが、人類にもはや移動するところはない。それをどこまでテクノロジーでカバーできるのか?本書は歴史のみを追うが、そんなことを考えさせられる歴史書である。
自分は現在の地球温暖化を声高に叫ぶ論調には疑問を覚える立場だが、本書を読むとますますその思いを強くする。人類はいつだって気候変動にさらされてきたのだ。なぜ今だけ、それが人類だけのせいだとし、危機感を煽るのか。フシギである。

初版2008/04 河出書房新社/河出文庫

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TORNADO F.Mk.3 Day1st

”虎柄”シリーズ第二弾はこれでいきます。
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ハセガワ1/72のトーネードF.Mk.3のイタリア空軍仕様。ユーロファイター・タイフーンの開発遅延により、F-104Sの退役とタイフーン配備の間にギャップが生じるため、イギリス空軍のトーネードをリースしたのが本機です。もっとも、度重なるトラブルと嵩むメンテナンス費用にイタリア空軍が音を上げ、返却した後にアメリカ空軍からF-16ADFをリースし直すわけですが。トーネード・・・やればできる子のはずなのに。
ともあれ、製作開始。
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ハセガワの1/72トーネードはシャープなスジ彫りが施された近年のハセガワ・スタンダード。IDSのキットが基準のため、機首部分を交換するF.Mk.3の場合は脚収納庫やコクピット付近の合いがやや甘く、仮組みでパーツを少しずつ加工する必要があります。
VG翼は可動ですが、塗装やパイロンの都合のために根元部分をソーでカット、はめ込み式にしています。
10年ぶりぐらいにこのキットを作るのですが、押し出しピン跡、こんなに多かったっけ?これの加工に一番時間がかかってます。

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RF-4E(TIGER MEET 1984) Completed

ハセガワ1/72RF-4Eのドイツ空軍、1984年のタイガーミート参加機、完成しました。
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タイガーミートとは、NATO加盟の各国空軍のうち、タイガーをシンボルマークとする部隊が親睦や技術交流をはかるために開催される共同訓練のこと。様々な趣向をこらした記念塗装機が登場するため、航空ファンに非常に人気があり、軍の公式行事にもかかわらず、スポッターデーが設けられているほどです。
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ドイツ空軍も歴代様々な記念塗装機を参加させていますが、最高に派手な部類の1つが1984年の第52偵察航空団のRF-4E。機体の一部ではなく、完全に虎柄模様です。
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キットはハセガワの限定版をストレート組み。問題は塗装。キットにはイエロー部分の大判デカールが入っていますが、正直なところ使うに値するものではなく、虎柄は塗装でいくことに。先にクールホワイトで下地を作ったあと、RLM04イエローを全面吹きつけ。その後、デカールを台紙にしてマスキングテープをカットし、セミグロスブラックを吹いています。”言うは易し、行うは難し”で、一度目はエアテックのマスキングシートを使ったのですが粘着力が弱く、吹きこぼれ多数で失敗。シンナー風呂で塗装を落とし、マスキングが強いテープを選んでカットし、やり直しています。
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一度目に塗装を失敗したときには放り出しそうになったのですが、なんとか完成までたどり着きました。たいした出来ではないですが、あきらめなかったことだけは自分を褒めてやりたい。久々にそう思うモデリングでした。


追記;レベルの1/72RF-4Eが、この塗装をDACO製のデカールで再現できると知ったのは塗装が終わったあとでした。非常に微妙な気分です(笑)。

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書評<これからの「正義」の話をしよう>

NHK教育でも放映されている、著者であるサンデル教授のハーバード大学での講義をまとめた政治哲学の本である。カントやアリストテレスといった古典的な哲学から、ロールズに代表される現代思想を、それぞれの思想をアメリカが現実に抱える問題に当てはめて、分かりやすく解説されている。アファマーティブ・アクション、代理出産、志願兵制といった論争がある問題について、哲学の巨匠たちが生きていたらどんなふうに”正義”を見出していたか、著者が解説していく。

当たり前の話だが、”正義”はそれぞれの立場でまるで異なる。著者は哲学者たちの思想の根本を噛み砕いて解説した後、実際の問題に当てはめて、それぞれの主張の有利・不利をみていく。その中心がいわゆる”最大多数の最大幸福”の「功利主義」、アメリカでは保守派である「自由至上」主義、ロールズの平等思想である。それぞれの思想は正しく、また間違っている。著者は解答らしきものをちらつかせるが、それとて絶対的なものではない。だが、読者自らの価値観はどの思想に近く、それがどんな問題があるのかはみえてくるだろう。例えば自分は功利主義に非常に近いが、それに限界があることがみえてくる。自分の考えを整理するうえで、有益な本であるといえるだろう。

初版2010/05 早川書房/ハードカバー

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星に願いを  Completed

アオシマの1/32小惑星探査機<はやぶさ>、完成しました。
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何よりも帰還予定である今日中の完成を目指したため、いろいろと粗い出来ですが、なぜか立体があるだけで嬉しくなります。
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箱型の本体のパーティングライン消しもそこそこに塗装しています。ブラックで下塗りした後、クレオスのスーパーファインシルバーを吹いてマスキング、最後にガイアのスターブライトブレスを吹いています。衛星の断熱材のイメージに近いとは思いますが、やや粗いので注意が必要。そうなった本人が言うので間違いない(笑)。
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サンプラーホーンはフラットブラックを吹いた後に、ハセガワの蒸着シートのカッパーを細切りして貼ってます。
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パーツ数は少ないのですが塗り分けが多く、意外と時間がかかりました。弱点は土台でしょうか。土台は小惑星<イトカワ>に支持棒なのですが、ちょっとトップヘビー。破損が心配ならジオラマにして固定するのがいいでしょう。

サンプルリターンがなかった場合、おそらく一般マスコミが叩くことうけあいですが、<はやぶさ>の帰還を待っていた人にはその帰還にこそ意味があります。今晩には燃え尽きる<はやぶさ>を製作しながら、その生きた証であるリエントリカプセルの無事を祈る。ロマンだねえ。

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星に願いを Day1st

このブログをのぞきに来てくれる方なら、JAXAの小惑星探査機<はやぶさ>を知らない人はいないでしょう。<はやぶさ>は、明日、6月13日深夜に苦難の旅を終えます。というわけで、作らないわけにはいかないでしょう。
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アオシマの新商品、1/32小惑星探査機<はやぶさ>です。
まずは太陽電池パネルなど周辺機器から。
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太陽電池パネルはあらかじめ本体にはめ込む形式のため、塗装しづらいのでトラス部分で切り離し、真鍮線を通して接着することにしてます。太陽電池パネルは説明書はキャラクターブルーの指定ですが、少しでもパネルっぽくするのにコバルトブルーにメタリックブルーを重ねてます。ハイゲインアンテナはクールホワイトを吹いた後にエナメルのブラックでシャドーつけてます。ゴールドはガイアのスターブライトブラスを使用。いやしかし、1日で軽く作れると踏んでいたのですが、意外に塗り分けやマスキングが多くて本体の塗装には入れず。

こんなのBGMにして泣きながら作ってるからだろうな。

さて、明日の23時までには仕上げることとしよう。

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書評<ホース・ソルジャー―米特殊騎馬隊、アフガンの死闘>

9.11同時多発テロ後、アメリカは怒りの矛先をアフガニスタンを実効支配するタリバンに向ける。テロ組織アルカイダを率いるビン・ラディンを匿っているとされたからだ。だが、アフガニスタンは内陸の急峻な山岳地帯が主戦場であり、正規軍を急速に投入できる地域ではない。そこでアメリカは、タリバンに対抗するゲリラ部隊、北部同盟軍に接触し、それを支援することでタリバン政府の転覆をはかろうとする。CIAのパラ・ミリタリーが北部同盟軍に接触をはかり、グリーンベレーに代表されるSOF(特殊部隊)がゲリラを支援するために現地入りする。彼らは貧弱なバックアップのもと、北部同盟軍の騎馬隊に加わることとなる。苦労はありながらも進撃が続いていたが、やがて待っていたのはSOFにとってモガディシュ以上の市街戦だった。本書は9.11テロ直後の初期のアフガニスタンでの戦闘を描いたノンフィクションである。

ベトナム戦争以来、特殊部隊の本分とは直接戦闘に加わることではなく、外国の正規軍あるいはゲリラ部隊を指導・支援することである。なので北部同盟軍の支援は決して奇異なことではないが、それでもレーザー・デジグネーターやGPS機器を操るSOFの隊員が馬に乗る姿はインパクトがあり、本書が成立するゆえんだろう。
SOFの姿を描くノンフィクションとしては、当初は”家族は大切にするが、戦場では勇気と規律ある戦闘員”というアメリカの理想みたいなものがやや鼻につくものの、戦場での状況が進めば、アフガニスタン戦争の実相が垣間見えてくる。誰が敵で誰が味方かよく分からず、支援するゲリラの首領すら、はじめは信用できなかったこと。タリバンの兵員すべてが”殉教者”になるような狂信者ならまだ戦いやすいが、無理矢理にゲリラになってさせられ、戦闘が終われば翻意する現地住民もいるため、ますます戦場が混乱すること。SOFの隊員の任務の一つは上空支援の誘導だが、JDAM(GPS誘導爆弾)、LDGP(レーザー誘導爆弾)が意外にも命中率が低いことなどなど。教訓はいくらでも出てくる。

2010年現在、アフガニスタン情勢は混乱を極めているが、著者が示唆するようにイラクに手を出さず、アフガニスタンの平定に力を集中すれば歴史は変わったと思う。つくづくも、ブッシュ・ジュニアとラムズフェルドの罪は大きい。

書評2010/04 早川書房/ハードカバー

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RF-4E(TIGER MEET 1984) Day5th

SHS2010が終了し、個人的に次のターゲットはHME2010となります。今年の統一テーマは”タイガー”。現用機モデラーとしては、義務としてNATOのタイガーミート塗装機を作らなければならないでしょう。
というわけでコレ。
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ハセガワ1/72のドイツ空軍のRF-4EファントムⅡ、1984年のタイガーミートの限定版です。一応、大判のデカールが入っていますが、ブラックにイエローを貼るのが現実的な選択とは思えず、塗装でチャレンジ。

組み立て段階はストレート組みなのですっ飛ばし、塗装から。自分の場合はシッポのジェットノズル付近を先に塗装してマスキング。そしてクレオスのクールホワイトで下地塗装。
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ややムラがありますが、下地ということで妥協。
イエローの正確な色調は分からないので、ここは単純にドイツ機ということでC113のRLM04イエローを使用して、全面塗装。デカールをコピーした台紙に幅広のマスキングテープを貼り込み、マスキングシートを作成します。マスキングテープのカットはたいした手間ではないのですが、貼るのは2時間半を要してます。
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そしてセミグロスブラックを重ね塗りし、神に祈りを捧げながらテープを剥がす。
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多少の吹きこぼしがありますが、これで良しとします。最後にデカール貼りのためにクリアー吹いて作業終了。

ちょっとオーバーに書いたのは、、前日に塗装を失敗しており、シンナー風呂に浸して全面の塗装を落としてるんです。エアテックスのマスキングシートを使用したのですが、粘着力が弱くて多くの吹きこぼしが発生。それをリカバーしようとしてイエローを吹くも、当然のごとく色が乗らない。放り出しそうになったのですが、気を取り直して幅広のマスキングテープを買ってきて全面再塗装。まー疲れました。
しかしこれは・・・まんま初代コスモタイガーですな。

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