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書評<ホース・ソルジャー―米特殊騎馬隊、アフガンの死闘>

9.11同時多発テロ後、アメリカは怒りの矛先をアフガニスタンを実効支配するタリバンに向ける。テロ組織アルカイダを率いるビン・ラディンを匿っているとされたからだ。だが、アフガニスタンは内陸の急峻な山岳地帯が主戦場であり、正規軍を急速に投入できる地域ではない。そこでアメリカは、タリバンに対抗するゲリラ部隊、北部同盟軍に接触し、それを支援することでタリバン政府の転覆をはかろうとする。CIAのパラ・ミリタリーが北部同盟軍に接触をはかり、グリーンベレーに代表されるSOF(特殊部隊)がゲリラを支援するために現地入りする。彼らは貧弱なバックアップのもと、北部同盟軍の騎馬隊に加わることとなる。苦労はありながらも進撃が続いていたが、やがて待っていたのはSOFにとってモガディシュ以上の市街戦だった。本書は9.11テロ直後の初期のアフガニスタンでの戦闘を描いたノンフィクションである。

ベトナム戦争以来、特殊部隊の本分とは直接戦闘に加わることではなく、外国の正規軍あるいはゲリラ部隊を指導・支援することである。なので北部同盟軍の支援は決して奇異なことではないが、それでもレーザー・デジグネーターやGPS機器を操るSOFの隊員が馬に乗る姿はインパクトがあり、本書が成立するゆえんだろう。
SOFの姿を描くノンフィクションとしては、当初は”家族は大切にするが、戦場では勇気と規律ある戦闘員”というアメリカの理想みたいなものがやや鼻につくものの、戦場での状況が進めば、アフガニスタン戦争の実相が垣間見えてくる。誰が敵で誰が味方かよく分からず、支援するゲリラの首領すら、はじめは信用できなかったこと。タリバンの兵員すべてが”殉教者”になるような狂信者ならまだ戦いやすいが、無理矢理にゲリラになってさせられ、戦闘が終われば翻意する現地住民もいるため、ますます戦場が混乱すること。SOFの隊員の任務の一つは上空支援の誘導だが、JDAM(GPS誘導爆弾)、LDGP(レーザー誘導爆弾)が意外にも命中率が低いことなどなど。教訓はいくらでも出てくる。

2010年現在、アフガニスタン情勢は混乱を極めているが、著者が示唆するようにイラクに手を出さず、アフガニスタンの平定に力を集中すれば歴史は変わったと思う。つくづくも、ブッシュ・ジュニアとラムズフェルドの罪は大きい。

書評2010/04 早川書房/ハードカバー

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Comments

ああ、こんなの出ていたんですね><
当時、米特殊部隊の騎乗画像がネット上で見られて、
その意義や意味について、某所であれこれ憶測を重ねて楽しんでいました。

読まねば

Posted by: Mach0.9 | 2010.06.12 at 14:41

>Mach0.9さん
アメリカ人はみんな多少なりとも乗馬の経験があると勝手に思ってたんですが、けっこう苦労している姿が描かれています。多少、特殊部隊員がヒーロー然として描かれているのが気になりますが、最後の戦闘が手に汗握りますよ。

Posted by: ウイングバック | 2010.06.12 at 20:08

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