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書評<神父と頭蓋骨>

ときは20世紀初頭、科学の発展により、ヨーロッパの人々がキリスト教のくびきから徐々に逃れようとしていた時代。とはいえ、まだまだ協会は絶大な影響力を有しており、その先兵たる神父が、聖書に反する科学、すなわち進化論を認め、それを人々に広めることなど、許されることではなかった。しかし、敬虔なイエズス会士であったピエール・テイヤール・ド・シャルダンは一流の地質学者、古生物学者であり、進化論が正しいことを認識しており、それは彼の中で聖書と矛盾するものではなかった。しかし、協会は彼を危険思想を抱く神父として警戒し、フランスから中国へ一種の”流刑”に処す。しかし、ティヤールはそこでも研究を続け、人と類人猿のミッシング・リンクたる北京原人の発掘に関わることとなる。

カトリック教会に危険視され、そのころの文化の中心地であるパリを追われながらも、自分の信念を貫いて研究を続けた神父兼古生物学者の伝記である。しかしながら、ティヤールの波乱に満ちた人生を追うのに精いっぱいで、読者が一番知りたいと思われる、宗教的信念と科学的信念の彼の心の中での葛藤はさらっと流されており、不満の残る内容だ。また、ティヤールは物圏、植物圏、動物圏、精神圏といった階層的な”スフィア”で地球圏が成り立っているという独自の観念を持つことで知られているが、ここらへんもさらっと流されている。「神父と頭蓋骨」というタイトルなら、ティアールの恋愛話などにページをさかず、ここらへんに伝記の中心をおいてもよかったのではないか。少々不満の残る内容であった。

初版2010/06 早川書房/ハードカバー

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