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2010.07.20

書評<土の文明史>

ホモ・サピエンスがいわゆる農業を始めて以後、その歴史は常に”土”とともにあった。早くも紀元前のローマ帝国時代には、人々はその土の持つ力と、それを保つ方法を掴んでいた。だが、無雑作に開墾を進める人々はそのことを顧みずに土地を”使い捨て”し、いくつもの文明が土の滋養を失うことにより滅亡していった。それは何も古代のことだけではなく、欧米が植民地のプランテーションを抱えていたごく最近まで起こっていたことである。本書は農業の創成期から現代の”緑の革命”まで詳細に分析し、幾多の文明の盛衰と、人類と農業の行く末を解説していく。

先日は気候の変動が人類の歴史を変えていくことを解説した本を取り上げたが、本書は”土”と文明の関わりを解説していくものである。農業に疎い読者にも分かるように解説されている箇所があるかと思えば、「緑の革命」といった重要事項をサラリと流すなど、内容にややアンバランスな面もあるが、土が文明の発展に果たしてきた役割が詳細に分かるし、それを他分野の学問とも結びつけることができる。例えば、今現在の世界情勢では今一歩、一昔前の領土拡張への欲望が理解できないが、本書を読めば肥沃な土地を確保することがいかに国力に必要なことか理解できる。
個人的に印象に残るのは、やはり化学肥料の使用と品種改良という「緑の革命」だ。産業革命は世界の工業化を推し進めたが、また「緑の革命」にも必須だった。産業革命がなければ窒素の固定化といった技術も確立できなかったであろう。人類の歴史は、どんな分野も互いに密接につながりがあると再確認した本であった。

初版/2010/04 築地書館/ハードカバー

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