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2010.11.22

書評<ジェット・エンジンの仕組み>


現代の航空機の動力として、主役となっているジェットエンジン。空気を圧縮し、そこに燃料を吹きつけて燃焼させ、そのガスの反作用力で航空機を推進させる。基本構造としては単純といってかまわないと思うが、その中身は長年に渡る航空力学の研究の蓄積と、最新の材料技術の固まりであり、先進レベルのジェットエンジンを開発できるメーカーは世界で5本の指に収まる。本書はジェットエンジン開発の構想と発展、そして著者からいわせれば初歩の初歩であろうタービンの動翼や静翼の形状解析などを紹介し、最新のジェットエンジンの仕組みが理解できる。

当方、ほぼジェット戦闘機専門のモデラーでありますが、その要となるジェットエンジンの仕組みがよく分かってないので手に取ってみたのだが、ジェットエンジンの単純で複雑な構造を分かりやすく紹介した好著であった。P&W社に勤めていた技術者である著者としては、どこを抜いてどこに重点をおけばシロウトにジェットエンジンを理解できるような入門書になるか苦心したのであろうが、「2軸低バイパスターボファン・低圧縮3段軸流式・高圧縮5段軸流式・アニュラー式燃焼器・可変インレットファン」といった基本的なデータはちゃんと理解できるよう、ピックアップされている。航空関係本の副読本として是非お薦め。

初版2010/09 講談社/ブルーバックス

2010.11.21

A-7E Day3rdあたり

マスコミが大臣たちの失言を取り上げ、追い込みを始めると、政権も末期なんだなあ、と思う。
そんなことを思いつつ、朝からプラモ製作開始。

F-35Bと並行して、これを始めてました。
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ホビーボスの1/72のA-7EコルセアⅡ。アメリカ海軍の軽攻撃機です。キットは各メーカー揃っていますが、ホビーボスが最新版となります。全面リベットが打たれた中華スタンダード?のキット。仮組みをして少し刷り合わせをすれば、ほぼパテなしでサクサクと組み立ては進みます。機体側面のアクセスドアが開くなど、全体としてはハセガワ1/48のキットを参考にしていると思われます。
問題はインストの方。下面のAN/APN-190ドップラーレーダーとストライクカメラがパーツはあるものの、取り付け指示なし。E型の特徴なのでお忘れなく。

んで、今日の作業は全体塗装。
デカールはキット付属はセンスがあんまりよろしくないもののため、フジミから持ってきてカウンターシェイド・スキムにします。下面はクレオスH308、上面がH307ですが、toyさんのアドバイスに従い、全体に暗くなるのを防ぐためにC338を混色しています。マスキングは今流行のくっつき虫を使用してます。
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今回、自分としては奇跡といえるぐらい(笑)、マスキングが成功。グレーの明るさも狙い通り、グレーの境い目もまったく吹きこぼしなしで、ウォッシングまで進んでいました。しかしながら好事魔多し。よく見ると、エアインティークにグレーが入り込んでました。まあ、基本的に見えないところは作らない主義なので、少し修正するだけにしましょう。
うーん、全部が大成功、とはなかなかいかないものです。

2010.11.18

書評<ヘンテコピープルUSA>

アメリカは広い。そして自由の国であるこの国には、様々な少数派の人たちがいる。UFOマニア、ポルノ俳優、集団自殺したカルトからの生還者、自分の可愛い双子の娘にヘイト・ソングを唄わせる人種差別主義者などなど。著者はBBCのドキュメンタリー番組のインタビュアーであり、過去に彼の番組で取材した少数派の人たちに再開する旅に出る。

基本的には、”皮肉屋のイギリス人”から見たアメリカ人がどう映るかが主題のエッセイである。著者が出会う人たちは、商売として怪しいサークルに関わっている人も一部にはいるものの、多くは筋金入りの信念を持つ人たちで、すでに”若気の至り”ではすまない年齢になっている。彼らは変わらず彼らのままなのか?それとも、更生しているのか?「再会」というテーマが、ただの”ヘンテコピープル”紹介に終わらないエッセイにしており、他の類似本に比べて考えさせられるところが多い本である。
個人的には、アメリカとキリスト教との関わりを論じた本を読んだ直後だったため、彼ら”ヘンテコ・ピープル”の思想とキリスト教とのかかわりの深さが興味深かった。人間の価値観の根本に関わる宗教と結びついているのだから、彼らの価値観が簡単に変わるわけがない。日本にもUFOビリーバーやレイシストはいるだろう。だが、彼らに比べればそれはほんのお遊びに過ぎない。そんなことを感じたエッセイであった。


初版2010/10 中央公論新社/ソフトカバー

2010.11.17

書評<恐竜再生>

かつての名作「ジェラシック・パーク」では、太古の琥珀に眠っている蚊が吸った血液から恐竜のDNAを取り出し、カエルの卵に移植することで恐竜を作り出そうとした。これはもちろんフィクションであり、実際には様々な困難が伴う。だが、「ジェラシック・パーク」でサイエンス・アドバイザーを務めた生物学者である著者は、胚の研究を対象とする「発生進化学」その他の各種専門分野の研究者と協力し、恐竜の直接的な子孫である鶏の胚をコントロールすることにより、”恐竜のようなもの”を生み出そうとしている。本書は発生進化学の発展と現在を紹介し、それが可能にしようとしていることを解説する。

DNAにコードされている遺伝子は、基本的には”スイッチ”である。例えば、「手」の発達段階において、指を伸長させるスイッチが入り、指の隙間がそれ以上発育することがないようスイッチが切られることにより、我々が持つ「手」の形となる。これが積み重なり、最終的にホモ・サピエンスになったり、類人猿になったりするといっても過言ではない。では、恐竜の子孫たる鶏の胚のスイッチを制御すれば、恐竜を生み出すことができるのではないか?これが本書の趣旨である。古生物学といえば、荒れ地で粛々と化石を発掘するイメージであるが、分子生物学や発生学との”コラボ”により、太古の生物を”再現”するところにまで来ているのである。本書は、そうした古生物学の現在を垣間見ることができる1冊である。

初版2010/10 日経ナショナルジオグラフィック社/ハードカバー

2010.11.13

Lightning FA.1 Completed

フジミ1/72LightningFA.2(F-35Bイギリス海軍仕様)、完成しました。
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ロッキード・マーチンF-35はアメリカ空軍はF-16の後継、アメリカ海軍はF-18A/Cの後継、アメリカ海兵隊はAV-8Bの後継となる、野心的な3軍共通の次世代戦闘機として鋭意開発中の機体です。いずれもベストセラーの後継機となるだけに、すでにNATO諸国をはじめ多くの国の次期主力戦闘機として内定していますが、ステルスや先進アビニオクス・ネットワーク戦闘への対応といった新技術を多く盛り込んだせいもあって、価格が高騰。また技術的困難もあり、2012年の実戦配備開始という導入スケジュールが守られそうにありません。
3タイプが同時開発されていますが、開発スケジュールが一番早く進んでいるのがAV-8Bの後継となるF-35B。リフトファンと推力変更ノズルを備え、SVTOLを実現します。
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フジミのキットは10月発売の新商品。多色成形・スナップフィットの簡易組み立てキットです。機体そのものこそスジ彫りとリベット表現が全面に施されていますが、シートやミサイルなどは簡素なもの。機体パーツのダボは切り飛ばせばいいのですが、脚カバーなどの部品の大きな差込口はそうもいかず、当世風のリアルな表現には向きません。
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なので今回はシートをF-16のものと交換、武装をストックのJDAMとAIM-120と交換。これだけでも見映えが違います。また、キットで開けられるドアは全部開けていますが、実機は垂直離着陸時、リフトファンドアの後ろの補助インティークドアも開くので、”ディスプレイデモ”のつもりで製作しています。
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キットのデカールは試験中のF-35Bの仕様で用意されていますが、なんとなく面白くないので、手持ちのシーハリアーのデカールを拝借、空母クイーン・エリザベスに搭載される<ライトニングFA.1>をデッチ上げました。機体全面はダークシーグレー(クレオスのC335)を吹きつけて、デカールを適当に貼っています。ステルス機は塗装にも気を使うのでオリジナル迷彩ができるのか、そのデリケートな塗装が塩をかぶる艦載機ではどうなるのかなど、疑問点はいろいろあるのですが、ここは艦載機らしく、ウェザリングきつめで。マジメな話、運用してみないとこのへんは分かりませんね。
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このキットにはいろいろ考えさせられました。”中途半端”と切って捨てるのは簡単です。ですが、例えば大きなダボと差込口の意図はどこにあるのでしょうか?ガンプラからスケールモデルに手を出した少年モデラーが「このドアの取り付け穴はどこにある?」なんてことはいかにもありそうな話です。
また、このキット作成時に、ハセガワから1/72Su-33フランカーの開発発表がありました。「もし1/48のF-22ラプターのときと同じくアイマス機が先に発売されたら、今度こそハセガワを許さない。長年ハセガワを支えてきたスケールモデラーに敬意をはらうべき」というネットの掲示板の書き込みを見て、そのオレ様な考え方ががどうにも許せませんでした。
何が言いたいかというと、我々”おっちゃんモデラー”の視点だけで物事を見てはいけない、ということです。フジミが少しでも購買層の拡大を狙ったのなら、それに対応するのが大人のモデラーでしょう(機体リベットの表現から、アジアへの輸出なんかも狙ってそうですが)。ファースト・ロットしかキットは買わない?それこそ、日本の金型技術をバカにした考え方ではないでしょうか?プラモデルという今や希少なホビーを守るために、企業の生き残りに少しでも貢献しろ、とまではいいませんが、フジミもハセガワも営利企業であることは常に覚えておかねばならないと、個人的に思います。

ともあれ、2週間ほどでF-35Bのフォルムを立体として実感できるのです。「こんなずんぐりむっくりが、F-Xなのはイヤだ!(笑)」と。その楽しさ?をもっと考えてもいいと思うのです。
さて、次はコツを掴み損ねたロービジのウェザリングに再チャレンジします。

2010.11.06

Lightning FA.1 Day3rd

北方領土にはロシア大統領が示威行動のための上陸。尖閣諸島での領海侵犯事案では、海保の巡視艇に故意に衝突する中国漁船のVTRが流出。ロシアは無視して中国への抗議デモを行う自称愛国者の人たち、この後に及んでも中国をかばおうとする自称リベラルの人たち、どちらもダブルスタンダードが透けて見えるね。

そんなことを思いつつ、ちょこちょこと弄っていたF-35Bは全体塗装。
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ステルス機には塗装にもレーダー反射を抑える役割があって、多国籍戦闘機といえども自国向けの迷彩塗装をすることすらかなわないのではないか?艦載機といえば潮風とその洗浄の繰り返しによる汚れが目立つのが常だが、前述のように塗装がナイーブなステルス機の場合、どのように現場は対処するのか?と疑問はいっぱいなのですが、結局はパネルラインにフラットブラックを吹いて、グレーを重ねるいつもどおりのパターンで塗装。今どきは最新型のF-16にもRCS抑制塗装が施されているという話もあるしね、と自分を納得させる。
グレーはシーハリアーの塗装指示に従って、クレオスのC335ダークシーグレー。シーハリアーの最終期はもう1つ明るいグレーだったけど、ここは夜間攻撃任務が増えるのでダークグレーに変更、という自己解釈。
ようやく戦闘機らしくなってきました。

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