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初版<完全な人間を目指さなくてもよい理由-遺伝子操作とエンハンスメントの倫理->

2010年のベストセラー著者の一人、マイケル・J・サンデル氏が、遺伝子操作など人道上問題がありそうなエンハンスメント、つまり人体の強化に対して疑義を呈しているのが本書である。不用意な遺伝子操作には生物学上からも反論が可能だが、本書は氏の専門である哲学の方面からエンハンスメントが内包する諸問題を指摘する。

遺伝子操作に哲学で疑義を呈する、ということで少々難しい本だったが、自分なりに解釈すると、人が生を受けたときに贈られる才能や性格などのいわゆる”ギフト”に対して、その責任を人が全面的に引き受けられるのか、ということに重点があると思う。例えばデザイナー・チャイルドとはその名のとおり、遺伝子操作により特定の”ギフト”を選んで子供をもうけるわけだが、そうして子供が生まれる前からその人生の選択肢を奪っていいのか?その”デザイン”に対して全面的に責任を負うことに、人間の心が耐えられるのか?サンデルはそこを問うているのだと思う。人が人に対して責任を負うのは、我が子だからこそ重い。

初版2010/10 ナカニシヤ出版/ハードカバー

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